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中日懇話会

第507回 中国 基礎研究に投資を 富士通総研・柯隆氏講演

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 第507回中日懇話会(中日新聞社主宰)が29日、名古屋市内のホテルで開かれ、富士通総研の柯隆(かりゅう)主席研究員(53)が「米中関係の行方と中国経済成長の課題−日中関係のあり方」と題して講演した。「中国が先進国になるかどうかはブランド力がカギ」とした上で、法的制度の整備や基礎研究の充実が必要と指摘した。

 講演要旨は次の通り。

 【米中の経済関係】

 米中間で貿易戦争になる可能性はほとんどない。米中貿易は確かに米国の大幅な赤字だが、(米国に輸出される代表的な製品の)スマートフォンは半導体を日韓で作り、中国で組み立てている。同じく中国で製造するパソコンは中の半導体がインテル、つまり米国企業の製品であり制裁できないからだ。

 【中国経済の行方】

 来年は改革開放政策からちょうど40年になる。日本は技術ではなく制度や文化、思想、価値観などを(欧米から)勉強したが、中国は制度を勉強せずもっぱら技術を学んだ。今の問題は単なる経済の問題ではなく制度の問題。経済発展は持続できないと思う。

 今までの経済発展は投資がけん引したが、箱ものインフラ整備はほぼ終わった。輸出は安いものを大量に作ってきたが限界に来ている。続けて輸出を拡大するにはイノベーション、研究開発に力を入れなければならない。消費もなかなか伸びない。社会保障制度、つまり老後がどうなるか安心できないのと、格差が大きく金持ちが国内で消費しないからだ。

 中国はコピーする技術はあるが新しいものをつくる技術が弱い。米国では研究開発費の17%を基礎研究に充てているが、中国は4%しかなく、中国発の技術がなかなかつくれない。一国の経済が本当に強いと認められるにはブランド力が必要だが、本気で基礎研究、技術革新をやらないとブランド力は生まれてこない。

 【人民元と円】

 ピーク時に4兆ドルを超えていた外貨準備高は約3兆ドルまで減った。個人の外貨預金も1兆ドル消えており(減った2兆ドルは)ウォール街に現れて米国の株価を押し上げている。(こうした資本取引の加速で)次に起きるのは為替の変動。人民元が自由に動きだせば日本が巻き込まれる可能性がある。私は5年間くらいかけて人民元は変動相場制に移るとみているが、その時に円への影響をどう防ぐかが問われる。

 

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