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中日懇話会

第504回 米政権 産業と金融矛盾 寺島実郎さん講演

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 第504回中日懇話会(中日新聞社主宰)が29日、名古屋市内のホテルであった。日本総合研究所の寺島実郎会長(69)が「世界の構造転換と日本の進路−トランプ政権と日本はどう向き合うべきか」と題して講演し、環太平洋連携協定(TPP)から離脱した米国との二国間協議について「反米でも嫌米もなく、正面から本音で向き合うべきだ」と指摘した。

 講演要旨は次の通り。

 【逆さまの時代】

 ことしに入って国際会議に出ると、必ず聞くジョークがある。「世の中が逆さまになっちゃった」と。1月のダボス会議では、中国の習近平国家主席が「グローバリズムと自由主義経済が大切」とぶち上げ、その3日後に就任したトランプ米大統領が「保護主義こそが経済を強くする」と演説した。より柔らかい頭で時代を見なければならなくなっているのは確かだ。

 【トランプ政権】

 トランプ政権の経済政策の特色は、産業政策と金融政策の矛盾だ。TPPからの離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しなど産業面で極端な保護主義に走る一方、金融面では規制緩和策を取ろうとしている。政権の布陣を見れば、金融の中でもマネーゲームのためのマネーゲームで飯を食ってきたウォール街出身者一色だ。もうひとつ、国務長官に石油大手エクソンモービルのティラーソン前会長を充てた点からは、この政権の「化石燃料シフト」が見えてくる。

 2月の日米首脳会談の共同声明では、中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島は日本の施政下にあるとして「(米国の日本防衛義務を定めた)日米安全保障条約第5条が適用されることを確認した」と明記された。しかし、施政権と領有権は違う。米国は日本の顔を立てながら中国にも配慮し、「領有権については日中で議論してくれ」という立場だ。

 【日本の構想力】

 米国のアジア政策の基本は「分断統治」。日中間の対立をテコにして影響力を最大化しようとするものだ。一方、日本は欧米に目が向きがちだが、まず視界に入れるべきは経済成長が続くアジアだ。対米貿易の割合が下がっている一方、アジアとの貿易は5割を超えた。中国が本気で世界的な覇権を握ろうとする中、日本に欠けているのは構想力だ。成熟した民主国家として、東アジアにどんな仕組みと平和をもたらそうとしているのかが問われている。

 

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