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中日懇話会

第503回 陛下のお気持ち考えて 評論家・保阪さん講演

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 第503回中日懇話会(中日新聞社主宰)が3日、名古屋市内のホテルで開かれ、ノンフィクション作家で評論家の保阪正康さん(77)が「退位を考える−昭和史の視点から」と題して講演。昨年8月の天皇陛下のビデオメッセージについて説明し、「天皇という存在をどう受け入れ、どういう関係を築くか。問われていることに対して受け身ではなく、天皇陛下のお気持ちを考えるべきだ」と話した。

 【天皇陛下のビデオメッセージ】

 これは平成の玉音放送。昭和の玉音放送では、主権者としての天皇が戦争を収めることを国民に対して訴えかけた。軍事や政治の最高責任者では収拾がつかなくなって、天皇ご自身がマイクの前に立たれた。今回のお言葉もそれに匹敵するほどの重みがある。

 【天皇の役割】

 天皇には皇統を守るという目的がある。守るために、昭和10年代は戦争という手段を選択した。

 なぜ私たちの国には天皇という制度が残っているのか。答えは軽率に出せない。大きく言えば権力と権威を分化し、天皇は歴史に対して謙虚に向かい合っている。皇帝と違って全権力や権威を振り回すシステムではない。

 【象徴天皇】

 天皇、皇后両陛下に呼ばれてお会いすると、3時間くらい雑談をする。私は天皇陛下は、「天皇のために」といって死んだ人たちへの責任感や重さを心底から考えているのだと思う。

 今の天皇陛下は憲法上の「象徴天皇」を皇后陛下とつくってきた。歴代の天皇で「天皇はいかにあるべきか」と考え、自らの力で「天皇学」をつくったのは今の天皇陛下だけ。だから誇りを持っている。

 【天皇と国民の関係】

 ビデオメッセージでは、最後にひと言加え、国民の理解を求めている。天皇陛下は時代にクエスチョンを発した。アンサーするのは私たちであり、政府でもある。政府が皇室典範の改正はせず、特例法だけで済ませる前提で有識者会議をつくってヒアリングをしたのが問題だ。

 天皇陛下の発言によって、私たちが天皇について自由に議論する土壌ができた。天皇という存在について、もっと冷静に理解する必要がある。

 「私たちを神だと思わないでください」という訴えがメッセージの背景にある。天皇、皇后両陛下は一生懸命にお務めを果たしている。それに対して正直に賛成の意を示すことが大切なのではないか。

 

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