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中日懇話会

第498回 「南海トラフ」想像力を 山岡地震学会長が講演

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 第498回中日懇話会(中日新聞社主宰)が20日、名古屋市内のホテルであった。日本地震学会長で名古屋大教授の山岡耕春さん(57)が「必ず起きる。どう備えるか。〜南海トラフ地震、直下型地震〜」と題して講演。「身を守るため、常に災害への想像をたくましくして」と訴えた。

 講演の要旨は次の通り。

 【日本列島とは】

 私たちが住む日本列島は、プレートが沈み込む「環太平洋造山帯」にある。災害と縁遠いロシア、北欧、オーストラリア、米国の東海岸などとは違い、この列島は地震、火山災害、風水害などの自然現象で造り上げられた。日本に住む以上、巨大地震は宿命だ。

 大規模な現象はまれにしか起きないので、災害を報じるテレビに映る住民は常に「こんなことは初めて」という。だが、一生に一度くらい「初めて」の災害に遭遇する可能性があると考えておくことが大事だ。

 【今年4月の熊本地震】

 最初の揺れより2回目の揺れの方が大きかった。珍しいことではあるが、不思議なことではない。同じようなケースは、1930年以降の日本では16回あり、マグニチュード(M)5を超える地震の5%ほどを占めた。記録を見ると、二つの揺れの間隔はせいぜい一週間。最初の地震で傾いたり損傷したりした家には、一週間は入らず、厳重に警戒すべきだ。

 犠牲者が出た熊本県南阿蘇村を視察した。学生アパートでも、壊れた建物と持ちこたえた建物がある。古い木造がつぶれ、新しい鉄筋コンクリート造りが残った。親の立場としては、家賃をケチらないことをお勧めする。

 【南海トラフ地震】

 南海トラフ巨大地震は広域災害。津波被災県の人口は3500万人で、東日本大震災に比べて3・5倍、震度6強以上になる可能性のある県の人口は5100万人で同じく5・5倍、各県内総生産の合計は197兆円で6倍近い。厳しい状態が想定され、何もしないと国が傾くことは容易に想像できる。そうならないよう準備することが非常に重要だ。

 津波は早いところでは地震発生後4、5分で海岸に到達し、遅くても20分で着く。東日本では早くても30分程度だったことを考えると、かなり早い。皆さんもグラッときた時に釣りや海水浴で海辺にいる可能性があるので、人ごとだと考えてはいけない。出先でも、強い揺れがきたら3分以内に逃げる場所をシミュレーションをしておいて。逆に観光地の側に立てば、そういう場所を準備しないと人に来てもらえなくなる。

 津波は高さではなく、その場所でどのくらいの深さまで浸水するかに注目してほしい。深さ30センチになれば人が流され、いったん倒れてしまうと立ち上がれない。2メートルに達すれば木造家屋が流される。

 伊勢湾の奥にある名古屋港に津波が到達するまで、地震から1時間半〜2時間かかる。ただ、愛知県の一部の海抜ゼロメートルの地帯では、揺れで堤防が破損するとの仮定もあり、油断は禁物。壊れた家に閉じ込められているうちに、浸水で溺死する恐れもある。「耐震補強は、(家から)逃げるため」という視点も持って。常に想像をたくましくするのが、防災の基本だ。

 

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