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「若者が住みたい田舎」へ

築約(ちくやく)100年の古民家(こみんか)で暮(く)らす岩田(いわた)さん=鳥取県岩美(とっとりけんいわみ)町で

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 日本が人口減少(げんしょう)社会を迎(むか)えています。大都市(だいとし)への人口集中(しゅうちゅう)が進(すす)む一方、過疎化(かそか)の進む地方の市町村は若者(わかもの)を大都市から呼(よ)び込(こ)もうと知恵(ちえ)を絞(しぼ)ります。全国(ぜんこく)の人口最少県(さいしょうけん)、「移住先進(いじゅうせんしん)県」の鳥取(とっとり)県を訪(おとず)れました。 (美細津仁志(みさいづひとし))

 「干(ほ)し過(す)ぎちゃったかな」。鳥取県北東部(とっとりけんほくとうぶ)の岩美(いわみ)町。昨年(さくねん)12月、愛知(あいち)県小牧(こまき)市出身(しゅっしん)の岩田薫(いわたかおる)さん(26)が軒先(のきさき)の干し柿(がき)を触(さわ)って確(たし)かめました。築約(ちくやく)100年の古民家(こみんか)を改修(かいしゅう)しての田舎暮(いなかぐ)らしです。

 2013年、愛知県内の大学を卒業(そつぎょう)後、すぐに岩美町に移住(いじゅう)。報酬(ほうしゅう)を得(え)ながら過疎(かそ)地で住民(じゅうみん)の手伝(てつだ)いをする国の事業(じぎょう)「地域(ちいき)おこし協力隊(きょうりょくたい)」に参加(さんか)するためでした。山間部(ぶ)の集落(しゅうらく)で休業中だった食堂(しょくどう)「鳥越(とりごえ)どんづまりハウス」のリニューアルを手掛(てが)けました。昨年(さくねん)3月に任期(にんき)を終(お)え、鳥取市内のデザイン会社で働(はたら)いています。

 美(うつく)しい海岸線(かいがんせん)や山並(やまな)みに、穏(おだ)やかな人々。「昔(むかし)ながらの暮(く)らしが残(のこ)っている」と岩田さんが魅力(みりょく)を語る町には、15年度(ねんど)、2、30代を中心に84組122人が移(うつ)り住(す)みました。お年寄(としよ)りが多い地域で、運動会(うんどうかい)や草刈(くさか)りなどに大活躍(だいかつやく)です。

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 鳥取県の人口は57万人で全国最下位(ぜんこくさいかい)。1人が減(へ)る痛(いた)みは大都市(だいとし)の比(ひ)ではありません。県は15年度から5年間で人口の1%にあたる6000人を移住目標(もくひょう)に掲(かか)げ、すでに2900人近くを達成(たっせい)しました。

 人口1万2000人、40年に4割(わり)減って約(やく)7600人になる見込(みこ)みの岩美町でも、移住希望者向(きぼうしゃむ)けの相談窓口(そうだんまどぐち)を役場(やくば)に設(もう)け、各団体(かくだんたい)や住民と連携(れんけい)して支援(しえん)します。住宅(じゅうたく)の改修費(かいしゅうひ)に上限(じょうげん)200万円、おむつ代(だい)に3万円など子育(こそだ)て世代(せだい)の住民への支援も手厚(てあつ)いのです。15年12月には雑誌(ざっし)の「住(す)みたい田舎(いなか)ランキング」(16年版(ばん))で574自治体(じちたい)の1位に。ちなみに17年版は鳥取市が1位でした。

 岩美町は特(とく)に全国でも珍(めずら)しく、若者(わかもの)に重点(じゅうてん)を置(お)いて移住を呼(よ)び掛(か)けています。谷口健一地域創生室長(たにぐちけんいちちいきそうせいしつちょう)は「子どもがもう1人欲(ほ)しい、時間に余裕(よゆう)を持(も)った暮らしがしたい−。こんな若者の夢(ゆめ)をかなえるのが地方の仕事(しごと)です」と語ります。

 なぜ人口が減(へ)ると問題(もんだい)なのでしょうか。

 地方は病院(びょういん)や学校を維持(いじ)できなくなり、高齢化(こうれいか)も加(くわ)わって、暮(く)らしや産業(さんぎょう)が立ちゆかなくなります。大都市(だいとし)でも人口が集中(しゅうちゅう)すると子育(こそだ)てなどの面(めん)で生活しにくくなります。

 中部(ちゅうぶ)地方では、岐阜県(ぎふけん)が県外に出た大学生に戻(もど)ってきてもらうため、16年4月から1人3万円の給付型奨学金(きゅうふがたしょうがくきん)の支給(しきゅう)を始(はじ)めました。卒業(そつぎょう)後、県内に戻って働(はたら)けば返(かえ)す必要(ひつよう)はありません。

 三重(みえ)県玉城(たまき)町は15年の国勢調査(こくせいちょうさ)で近隣(きんりん)の伊勢(いせ)市などのベッドタウンとして人口が増(ふ)えましたが、のんびりとはしていません。全国(ぜんこく)でも珍(めずら)しい「看護師(かんごし)」や「保健(ほけん)師」の資格(しかく)を持(も)つ一人親の家庭(かてい)の移住(いじゅう)を計画(けいかく)しました。町が進める無料(むりょう)の福祉(ふくし)バス運行(うんこう)やがん検診(けんしん)などの福祉政策(せいさく)に位置(いち)づけ、余裕(よゆう)を持って子育てする仕組(しく)み作りをします。

 

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