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ご当地米は人気で勝負

さまざまなご当地米が並(なら)ぶ「五ツ星お米マイスター」中村公一(なかむらこういち)さんの米穀店(べいこくてん)=名古屋(なごや)市東区(く)で

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 「青天の霹靂(へきれき)」に「森のくまさん」−。何の名前か分かりますか。答えはお米。その土地で多く栽培(さいばい)される「ご当地米」で、今や全国(ぜんこく)で300種以上(しゅいじょう)作られているといわれます。新米の季節(きせつ)、ご当地米の話題(わだい)を調(しら)べてみました。 (那須政治(なすまさはる))

〔1〕「龍の瞳」

 名古屋(なごや)市東区(く)のお米屋(こめや)さん「石うす屋 中村米穀(なかむらべいこく)」。店内にはコシヒカリに並(なら)んで、「ハツシモ(岐阜(ぎふ))」「さがびより(佐賀(さが))」など20種類以上(しゅるいいじょう)の米がありました。

 店主(てんしゅ)の中村公一(なかむらこういち)さん(46)は、愛知県内(あいちけんない)で30人足らずの専門資格(せんもんしかく)「五ツ星お米マイスター」を持(も)つ一人。さまざまな米の特徴(とくちょう)を熟知(じゅくち)しています。「『ご当地米』が多く流通(りゅうつう)しています。味(あじ)の違(ちが)いにこだわるお客(きゃく)さんが増(ふ)えてきたからではないか」と話します。

 東海(とうかい)地方で人気のご当地米が、岐阜県飛騨(ひだ)地方の「龍(りゅう)の瞳(ひとみ)(品種名(ひんしゅめい)・いのちの壱(いち))」です。2000年、背(せ)が高く米粒(つぶ)の大きい株(かぶ)がコシヒカリの田んぼから偶然(ぐうぜん)見つかり、大切に育(そだ)てて05年に商品化(しょうひんか)しました。

 1キロ1000円ほどする高級(こうきゅう)米。コシヒカリの1・5倍(ばい)ほどある粒の大きさと、モチモチした食感(しょっかん)、甘(あま)みでファンを獲得(かくとく)しました。お米のコンテストでは全国(ぜんこく)の米どころに交じって最高賞(さいこうしょう)を受賞(じゅしょう)したこともあります。

 龍の瞳の発見者(はっけんしゃ)で、企画(きかく)・販売(はんばい)会社社長の今井隆(いまいたかし)さん(60)は「農薬使用量(のうやくしようりょう)を県の基準(きじゅん)の3分の1以下にしようと心掛(こころが)けています。おいしさと安全(あんぜん)で勝負(しょうぶ)します」と意欲(いよく)十分です。

〔2〕研究に力

 多くのご当地米は、都道府県(とどうふけん)などの研究機関(けんきゅうきかん)が10年以上(いじょう)かけて開発(かいはつ)します。イネを病気(びょうき)にかかりにくくすることが目的(もくてき)です。農家(のうか)が作りやすく安定(あんてい)した収入(しゅうにゅう)を得(え)られる米を目指(めざ)します。

 病気の原因(げんいん)の一つが地球温暖化(ちきゅうおんだんか)。日本はこの100年で平均気温(へいきんきおん)が一度(ど)以上上昇(じょうしょう)し、真夏(まなつ)の暑(あつ)さによる生育障害(せいいくしょうがい)や虫食い被害(ひがい)などを無視(むし)できなくなりました。

 米の育成技術(いくせいぎじゅつ)で全国的(ぜんこくてき)に有名(ゆうめい)な愛知(あいち)県が1987年に開発した「あいちのかおり」は、蒸(む)し暑い県内の夏に対応(たいおう)する品種(ひんしゅ)です。適度(てきど)な甘(あま)みと香(かお)り、くせのないあっさりした食感(しょっかん)、他(ほか)の品種より安(やす)い価格(かかく)が受(う)け、今では県内最多(さいた)、約(やく)40%の作付(さくつ)けシェアを占(し)めます。県内の学校給食(きゅうしょく)でも使用(しよう)されています。

 滋賀(しが)県で2013年にデビューした「みずかがみ」も高温対策(こうおんたいさく)で育成されました。「食味(しょくみ)のよさも絶対(ぜったい)に外せませんでした」と県農業(のうぎょう)技術振興(しんこう)センターの谷口真一(たにぐちしんいち)さん(56)。県内のシェアは約7%ですが、日本穀物検定協会(こくもつけんていきょうかい)が2月に発表(はっぴょう)した「米の食味ランキング」で最高の「特A(とくエー)」評価(ひょうか)を受けました。谷口さんは「狙(ねら)い通り」と満足(まんぞく)げです。

〔3〕開発競争

 ご当地米は、長年の研究(けんきゅう)を経(へ)て2000年前後から続々(ぞくぞく)と登場(とうじょう)しました。名前がカタカナなら国が、漢字(かんじ)やひらがななら都道府県(とどうふけん)などが育成(いくせい)した品種(ひんしゅ)だとおおむね見分けられます。

 米の品種に詳(くわ)しい人間文化研究機構理事(にんげんぶんかけんきゅうきこうりじ)の佐藤洋一郎(さとうよういちろう)さん(63)は「1990年代(ねんだい)に業者(ぎょうしゃ)が『新潟県産(にいがたけんさん)コシヒカリ』の米袋(こめぶくろ)を偽造(ぎぞう)し、ほかの米を入れて販売(はんばい)した『偽(にせ)コシヒカリ事件(じけん)』などを機(き)に、消費者(しょうひしゃ)がコシヒカリに続(つづ)く品種を求(もと)める流(なが)れができました」と分析(ぶんせき)します。

 気候上(きこうじょう)、コシヒカリが育(そだ)ちにくい北海道(ほっかいどう)や東北(とうほく)地方は、対抗(たいこう)できる米作りに特(とく)に力を入れ、「北海道のきらら397や、ゆめぴりかが全国的(ぜんこくてき)に高い評価(ひょうか)を受(う)けたことなどから、ご当地米は地域(ちいき)ブランドを全国にPR(ピーアール)する絶好(ぜっこう)の機会だと各地(かくち)が考えたのです」と佐藤さん。「コシヒカリを上回る米を」と息巻(いきま)く開発競争(かいはつきょうそう)は現在(げんざい)も続いています。

 コシヒカリも負(ま)けていません。15年産(ねんさん)では全国で作付(さくつ)けされた米の36・1%を占(し)め、2位(い)のひとめぼれ(9・7%)を大きく引き離(はな)しました。

 米はパンや麺(めん)の台頭で消費量(りょう)が年々減(へ)っていますが、やはり日本人の主食(しゅしょく)です。皆(みな)さんも、気になる新米にチャレンジしてみてはいかがですか。

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