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なるほどランド

謎多いマンボウ

3月にお披露目(ひろめ)されたマンボウの像(ぞう)と館長(かんちょう)の里中知之(さとなかともゆき)さん=三重県志摩(みえけんしま)市の「志摩マリンランド」で

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 マンボウって変(か)わった形をしていますね。おっとりしていそうですが、ジャンプをするなど活発(かっぱつ)な一面(いちめん)もあります。最近(さいきん)、数が減(へ)ったのではと心配(しんぱい)され、絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に指定(してい)されました。マンボウの生態(せいたい)を調(しら)べました。  (藤原啓嗣(ふじはらひろし))

〔1〕 どんな魚

 五月の主要国首脳会議(しゅようこくしゅのうかいぎ)(伊勢志摩(いせしま)サミット)で注目(ちゅうもく)される三重県(みえけん)志摩市。会場となる同市の賢島(かしこじま)に、マンボウの泳(およ)ぐ水族館(すいぞくかん)として親しまれる「志摩マリンランド」があります。

 駐車場(ちゅうしゃじょう)に着(つ)くと、巨大なマンボウの像(ぞう)が出迎(でむか)えてくれました。全長(ぜんちょう)、高さともに三メートル以上(いじょう)あります。館長の里中知之(さとなかともゆき)さん(49)が「日本で捕(と)れた最大級(さいだいきゅう)のマンボウがモデル。三月にお披露目(ひろめ)しました」と話しました。

 近くの海でマンボウがよく捕れるため、同館は一九八一年から高さ二・五メートル、幅(はば)十メートル、奥行(おくゆ)き十メートルの水槽(すいそう)でマンボウを飼(か)い始(はじ)めました。今は全長〇・七〜一メートルの五匹(ひき)を飼っています。

 里中さんによると、マンボウは沖(おき)で海流(かいりゅう)に乗(の)ってくらします。海面(かいめん)に浮(う)かぶこともあれば、背(せ)びれと尻(しり)びれを動(うご)かして力強く泳ぐこともあります。時にはジャンプします。跳(と)び上がる理由(りゆう)はよく分かっていません。深(ふか)さ百メートルの海底(かいてい)まで潜(もぐ)ることもあります。クラゲやエビを食べます。一度(いちど)に産(う)む卵(たまご)は三億個(おくこ)といわれて、魚類(ぎょるい)の中で最(もっと)も多いそうです。

 活動的(かつどうてき)な魚だから飼育(しいく)は大変(たいへん)。マンボウが水槽の壁(かべ)やガラスにぶつかっても体を傷(きず)つけないように、水槽内の壁の前に軟(やわ)らかい保護(ほご)用のシートを垂(た)らしました。ジャンプして水槽の上にある飼育員(いん)用の足場に乗り上げないように、足場をさらに高くしました。餌(えさ)はエビのすり身(み)をやっています。

 里中さんは「五匹が同じ方向(ほうこう)を向(む)いて仲良(なかよ)く泳ぐこともあって、人気者(にんきもの)。海外の人にも受(う)けるのでは」と期待(きたい)しています。

〔2〕 おいしい

 三重県志摩(みえけんしま)市より南にある同県紀北(きほく)町は、町の魚がマンボウです。漁業(ぎょぎょう)が盛(さか)んでマンボウがよく捕(と)れます。

 国道42号沿(ごうぞ)いにある同町東長島(ひがしながしま)の三角屋根(やね)の建物(たてもの)は、道の駅紀伊長島(えききいながしま)マンボウです。マンボウの身(み)を使(つか)ったフライ定食(ていしょく)が食堂(しょくどう)で人気を集(あつ)めています。

 身は白身で味(あじ)があっさりしていて、鶏肉(とりにく)のささみのような食感(しょっかん)です。地元ではゆでた身を酢(す)みそにあえて食べるのが一般的(いっぱんてき)。フライにするとさくさくとした衣(ころも)と合い、ソースをかけるとご飯(はん)が進(すす)みます。

 身や腸(ちょう)を調理(ちょうり)した空揚(からあ)げや干物(ひもの)が土産物(みやげもの)売り場に並(なら)びます。腸は「コワタ」と呼(よ)んで、みりんで味付(あじつ)けします。焼(や)いて食べると、焼き肉のホルモンみたいです。

 同町では、ブリなどを狙(ねら)って海に仕掛(しか)ける「定置網(ていちあみ)」にマンボウがかかります。定置網漁(りょう)が盛んな十二月から翌年(よくねん)の五月にたくさん捕れて値段(ねだん)も安(やす)いので、親しまれてきました。鮮度(せんど)が落(お)ちると独特(どくとく)の臭(にお)いが出て身が水っぽくなるため、遠く離(はな)れた地域(ちいき)で扱(あつか)うお店は少ないです。

 道の駅の店長東良彦(ひがしよしひこ)さん(60)は「漁師(りょうし)町ならではのおいしさ。一度、食べに来(き)て」と呼び掛けます。

〔3〕 減った?

 最近(さいきん)、人気者(にんきもの)のマンボウに異変(いへん)が起(お)きました。「国際自然保護連合(こくさいしぜんほごれんごう)」(IUCN(アイユーシーエヌ))が昨年(さくねん)十一月、マンボウを絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に指定(してい)しました。世界的(せかいてき)に定置網(ていちあみ)などに入ってしまう「混獲(こんかく)」が原因(げんいん)で数が減(へ)ったと考えられています。

 IUCNの担当者(たんとうしゃ)によると、特(とく)にアイルランドやポルトガルで網にかかるマンボウが激減(げきげん)。三十年前と比(くら)べて、世界中のマンボウが三割(わり)減ったと推測(すいそく)しています。

 日本でもマンボウは混獲が中心で専門(せんもん)に狙(ねら)う漁師(りょうし)が少なく、漁獲量(ぎょかくりょう)を表(あらわ)す正確(せいかく)なデータはありません。

 ただ、三重県志摩(みえけんしま)市の県水産研究所(すいさんけんきゅうじょ)の主幹(しゅかん)研究員(いん)岡田誠(おかだまこと)さん(44)は「マンボウが減ったとは思わないです」と話します。岡田さんは七年前から週一回、三重県南伊勢(みなみいせ)町の漁港(ぎょこう)で水揚(みずあ)げされた魚を調(しら)べていますが、マンボウが目に見えて減ったということはないそうです。

 志摩マリンランドの里中(さとなか)さんは「水族館(すいぞくかん)の周辺(しゅうへん)でもマンボウが減ったとは聞きません。謎(なぞ)が多い魚なので、指定をきっかけに調査(ちょうさ)が進(すす)めば」と期待(きたい)しています。

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