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匠を訪ねて

[20]ガラス作家 有永浩太さん(35)  瞬間に打ち込む

薄い布を透かしたようなガラス作品の出来栄えを確認する有永さん

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繊細な装飾 独自の表現

 ガラスに極細の線が無数に走り、繊細な模様はまるで薄い布を透かしたよう。金沢市東山のガラス作家、有永浩太さん(35)の手掛ける「gaze(ガーゼ)」と名付けられたシリーズ作品。ドイツ語で「薄い布、粗い布」を指す言葉だ。手にするととても軽い。

 イタリアのベネチアングラスでレースの模様をガラスで再現する技法「レースグラス」から着想を得た独自の表現。本来はきらびやかな装飾に使われる技法だが、有永さんはより細かな模様にすることで、日本の生活様式にも合う繊細な装飾に仕立て上げた。

 「作品では、自分の考えるガラスの特徴を表現している」と有永さん。素の透明なガラスでわざといびつな形を残したシリーズは、作業中の熱くて軟らかいガラスのイメージを想像してもらうための表現だ。鮮やかな色表現にこだわったシリーズもあり、主に三つのシリーズで展開。作品は、金沢で開かれる食のイベントなどでも提供を求められる。

 生まれは堺市。実家の近くにはクリスマスツリーの飾りやペンダントを作るようなガラス工場があり、子どものころから自然とガラスに興味を持った。

 大学でガラス工芸を学び、福島市や東京都新島村のガラス工房で働いた。絵描きだったおばがかつて住んだ空き家が能登島にあったことが縁で、二〇〇九年に石川県に移住。一一年からは金沢卯辰山工芸工房の専門員として若手工芸家の指導、相談に当たっている。

有永さんのガラス作品=いずれも金沢市東山で

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 大学では陶芸なども学んだが、「瞬間、瞬間の作業に打ち込めるガラスは、じっくりと取り組む他の工芸より自分には合っていた」。吹きガラスは溶かしては吹く作業の繰り返し。窯から出すごとに作業できる時間はわずか十〜二十秒。翌日には作品の形になる。

 人類にとってガラスは古い技術。「作品の制作中には、試行錯誤を積み重ねて技法を一つ一つ確立してきた先人たちのことをよく考える」という。「ガラスとは何か」を常に考え、作品に向き合う。

後記

 夏ごろ、誘われて訪れた金沢市のギャラリーで、有永さんの「gaze」の作品に出会った。きめ細かな網目状の模様は、これまで見たことのなかったデザイン。手作りの優しい形や手にした時の軽さと相まって、その繊細な世界にひかれた。こんなガラス作品に囲まれれば、日常の食卓に彩りを加えてくれるはずだ。 (角雄記)

 

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