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匠を訪ねて

[16]竹ぼうき職人 小坂栄司さん(66) 「孟宗」にこだわり

ほうきの柄に枝を巻き付ける小坂さん=金沢市別所町で

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高品質 県外にもファン

 タケノコの産地として知られる金沢市別所町。小坂栄司さん(66)は、その竹林の一画に大きな作業所を構え、約二十七年間、竹ぼうき作りに励んできた。その優れた技術が評価され、県の「加工の匠」にも認定されている。

 材料は、ほうきの柄に使う竹の先の方と枝、そして固定する針金。まずはくさび用に小さく切った竹を四つ用意し、十字形になるよう柄に打ち込む。そして必要な量にまとめておいた枝をくさびの部分にあてがい、針金で手際よく巻き付けていく。枝の量は柄の太さに合わせ、多すぎず、少なすぎず。長年の経験で掃きやすい量に調整して仕上げていく。

 以前はサラリーマンだったが、一九八四(昭和五十九)年に父親が他界した後、タケノコ栽培を引き継いだ。「作業はそばで見ていたし、手伝ったこともあるのでそんなに戸惑いはなかった」。以来、竹ぼうきなどの加工品作りに専念。タケノコが採れる春のみ、自宅で料理も提供している。

素材にこだわった竹ぼうき

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 竹ぼうきの素材には人一倍こだわっている。自分の竹林だけでは足りないため他からも仕入れるが、軟らかく加工しやすい「真竹(まだけ)」は使わず、硬くて丈夫な「孟宗竹(もうそうちく)」を厳選。中でも寒い所で育ったほうが強度が増すため、市内でもより雪が積もる別所町周辺のものしか使わない。また、春と夏に栄養をたっぷり蓄えた後の九月中旬〜十一月末に切り倒した竹だけを集めている。

 「ほらね」。作業場で使っている竹ぼうきを見せてもらうと、たしかに穂先は減ってはいるものの曲がってはいない。この品質の高さが評判を呼び、県外から買いに来る人もいる。だが、どんなに頑張っても一日に作れるのは三十本、一年にして一万本程度といい「これ以上は手が回らない」と苦笑いする。

 最近は、高齢化で竹林を手入れする人も減り、材料自体が手に入りにくくなっているのも悩み。「でも作るからには納得できるものしか提供しない」。職人の気迫を感じた。

後記

 作業場には、秋に集めた竹の材料が必要な大きさにそろえられ、きれいに積まれていた。ほうきの穂先に利用する枝は、一つ一つ手で切りそろえるという丁寧さ。気の遠くなるような作業だが、その手間が良質なものを生み出すのだろう。手にすると、たしかに枝の弾力がすごい。掃除もうんと弾みそうだ。 (酒井ゆり)

 

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