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匠を訪ねて

[13]紙箱職人 紺島 克也さん(36) 工夫詰まった箱

箱の「角止め」をする紺島さん

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気温や湿度のり20種類

 ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ。小気味よい音が規則正しく四回響いて、紙箱の原型が一つずつ積み上がっていく。

 金沢市小坂町の紙器製造会社「マツバラ」。紺島克也さん(36)が、紙を折って箱の形に整え、四隅を熱着テープで固定する「角止め」の作業を見せてくれた。

 私たちが普段何げなく使っている紙の箱。大小はあるにせよ、作り方はどれも同じだろうと思いきや、「見た目は同じでも、作ると一つ一つ、すべて違うんです」と紺島さん。箱の大きさはもちろん、紙の質や厚さ、表面に貼る紙の違いによっても細かな調整が要求される。

 紙を四角く切る最初の工程から気が抜けない。「家と同じ。土台が少しでも狂うとすべてに影響が出る」。次は折り曲げる準備で、紙に一定の深さの切り込みを入れる「筋入れ」。紙の厚さや弾力に応じて、切り込みの深さを微妙に変える。

 箱の形ができて、表面に紙を貼る作業も神経を使う。二十種類もあるのりの中から、その紙に最適な物を選ぶ。気温や湿度が異なれば、のりの選択もまた変わる。「お客さんに、加工しにくい紙や大きさの箱を要望されることもある。不安なぶん、うまくいくとうれしい」

カラフルな箱の数々=いずれも金沢市小坂町で

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 最近は、さらに頭を悩ませる機会が増えている。社内にデザイン部門があり、二〇一一年にはギャラリー「HACO;ya(はこや)」も開設。アイデア豊かな箱が次々と生み出される裏に、紺島さんたちの支えがある。「デザイナーからは難しい注文ばかりで、嫌になります」と苦笑する。

 例えば跳び箱を模した箱。手をつく部分はちゃんと丸みを帯びている。「最初はそんなのできるのか、と思った。どうやって作るかは企業秘密です」

 〇二年に入社した紺島さん。川原外晴(がいせい)工場長(64)をはじめ、スタッフの信頼も厚い。「もうそろそろ工場長も交代だな」と川原さんに声を掛けられ、「まだまだですよ」と照れた。

後記

 金沢市東山の「HACO;ya」で、創造性あふれる箱の数々を見て、ぜひその裏側を知りたいと思った。実際に見せてもらうと、奇抜なデザインの箱はもちろん、素人の目には何の変哲もない箱にも細心の技術が詰まっていた。きっと紺島さんが頭を抱えるほど、箱の可能性は広がっていくのだろう。 (日下部弘太)

 

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