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匠を訪ねて

[10]珪藻土切り出し職人 山本五十六さん(39) 掘る 自然の恵み

坑道で珪藻土を切り出す山本さん

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珠洲特産 こんろ材料に

 珠洲市三崎町の山中にある丸和工業の坑道入り口から、従業員の案内で奥に進んで行く。天井から十数メートル置きにつり下げられた電球が照らす中を歩くと、途中でいくつか横道があり、迷路のように感じる。四百メートルほど進むと突き当たりに、珪藻土(けいそうど)を切り出す山本五十六(さとむ)さん(39)の姿があった。

 丸和工業では、珪藻土を切り出して形を整え、焼成して作るこんろを販売している。市によると、珪藻土は海や湖に生息していた植物性プランクトンが堆積してできた土。市全域の埋蔵量は四十九億五千万立方メートルあるとされ、日本一を誇るという。珪藻土切り出しこんろを製造しているのは全国でも珠洲が唯一で、市の特産品にもなっている。

 山本さんが、切り出しの作業を始めてから今年で七年になる。東京で会社員をしていたが生まれ故郷の能登町にUターン。仕事を探している時、たまたまテレビで切り出しの作業を見た。それまで全く知らない世界で、関心を持った。職業安定所に行くと偶然、丸和工業で従業員を募集していたことから、切り出しの仕事に飛び込んだ。

 切り出しは、壁面を平らにし、四方に製品のサイズに合わせて切り込み線を入れ、鉄砲ノミと呼ばれる長さ一・五メートル、先端の幅が三センチほどのノミで切り込み線に沿って必要な深さまで掘っていく。四方を掘り終え、切り込みへハンマーでくさびを打ち込むと、珪藻土のブロックが外れる。

焼き上げられた珪藻土切り出しこんろ=いずれも珠洲市三崎町で

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 先輩に教わったが初めは「慣れないとなかなか(ノミを)真っすぐに突けなくて」。表面は大丈夫でも、掘っていくと中が割れていることも。今でも自然相手の難しさを感じることが多々ある。

 それだけに「切り込み線の通りに、きれいに切り出せた時はうれしい」と顔をほころばせる。一日に切り出せるブロックの数は三十個ほど。「今は、やれることをやっていくしかない」と壁面に立ち向かう。

後記

 珪藻土切り出しこんろの製造には、機械を使う部分は少なく、手作業が主となる。この丹精されたこんろを数年前に購入したのだが、まだ数回しか使っていない。取材後、この季節、サンマを炭火で焼くと最高だろうなと思い、引っ張り出した。ぜひ使ってみたいと思っている。 (近江士郎)

 

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