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匠を訪ねて

[9]西野製作所社長 西野十治さん(61)  制球に技術凝縮

マシンの特徴などを紹介する西野社長(左)

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初の“ロボット投手”開発

 ミット代わりの壁を打つ小気味良い音が、工場内にこだまする。三つのローラーから繰り出された球が、狙い通りの所に吸い込まれていく。高度な人工知能を備え、正確なコントロールで多彩な球を操るピッチングマシン「Pitch18」。産業機械製造販売、西野製作所(工場・かほく市)が金沢大と共同開発した世界初の“ロボット投手”だ。

 「ピッチングマシンの革命かなと勝手に思っています」。社長の西野十治さん(61)=金沢市=は胸を張る。

 球速は八十〜百六十キロ。球種はカーブやスライダー、シュート、シンカーが大小二種類ずつに加え、伸びる直球と通常の計十種類。タッチパネルで指示すると、マシンが力加減などを割り出し、回転数や角度などを瞬時に調整して投球する。誤差もボール一個分と極めて正確だ。

 今から数年前。金沢大名誉教授、尾田十八さんの講演で、人工知能を備えたマシンの理論や構造の研究成果を映像で見た。「こんなもんあるんか」。衝撃だった。実現化に向け、試行錯誤していた教授らに、根っからの野球好きだった西野さんは迷わず声を掛けた。「うちで作りたい」

人工知能を搭載した世界初のピッチングマシン「Pitch18」=いずれもかほく市の西野製作所かほく工場で

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 工作機械などを取り扱っていただけに、技術力が生かせる自負もあった。一ミリの千分の一にあたるマイクロメートル単位の研磨技術。「根気も勘も求められる作業。設計から加工まで手掛けているので、他にはまねできない」と胸を張る。

 二年前の見本市に出展。その後も高校をはじめ、大学、社会人でモニター使用してもらい、検証を重ねる。「想定外の事態にいかに対応するか」。気候や温度変化に対応するため、ヒーターを取り付けたり、使い勝手を考慮し、タイヤなどに改善も加えた。

 これまでの製造台数は今夏までに計十台。本格的に市場に参入する。「夢や目的の達成に向け、プロ野球選手や高校球児らの成長を支える存在になれば」。“エースナンバー”をつけた石川発のマシンが球界を盛り上げる。

後記

 元球児として体がうずいた。「ついにここまで来たか」と評する野球関係者と同じ気持ちを抱いた。

 投げる球種が分かる従来のマシンと違い、相手は人工知能。球種への対応など、実戦に近い対戦ができ、プロ投手らの球筋も限りなく近く再現できる。

 社会人のバスケットボールチームを持つ同社。競技は違うが、夢を追い掛ける社長の思いに共感した。 (田嶋豊)

 

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