トップ > 石川 > 匠を訪ねて > 記事

ここから本文

匠を訪ねて

[8]竹画家 八十山和代さん(54) 竹 魅せられ30年

美術館のアトリエで作品を描く八十山さん=小松市村松町で

写真

力強さ 生き方に重ね

 天を突くように伸びる青い茎、地中をはうように伸びる地下茎、びっしりと生えたひげ根。固い地面でも割って成長する、その生命力あふれる姿に魅せられた。八十山和代さん(54)=小松市村松町=は竹を三十年描き続けている。「こんなに竹ばかり描いているのは私だけでは」と自負する。

 絵筆を選んでキャンバスに向かい、絵の具を幾重にも塗り重ねてみずみずしい竹を描く。水を吸い上げる茎は豪快に筆を動かし、生い茂る葉は一枚一枚繊細に。「数分しか持たないから」と笑うほどの集中力で描き込む。

 洋画家だった母親の故雅子さんの影響で、十八歳のころに油絵を始めた。二十三歳、洋画家として実力を試したいと実家を飛び出し京都へ。民家や企業を手当たり次第に訪ねて絵を売り込んだ。数カ月後に一枚売れて喜んだが、どこか物足りない気持ちを抱えていた。

 心から描きたいものが見つからず、題材を求めて竹林を歩いた。そこで見た孟宗竹(もうそうちく)に心を奪われた。「力強い竹が、いつも負けたくないと思っている私の生き方とぴったり重なった」と振り返る。西洋的な画法と東洋の伝統美が結び付いた瞬間だった。

100号の作品「清瀬〜清らかな風の音〜」

写真

 竹の色に悩んだ一九九一年、見渡す限り雪と氷のグリーンランドで一カ月テント生活をした。「色のない世界」で狩猟生活を送る人々を目にして、竹とも共通する生命力を感じた。二〇〇〇年には竹の本場・中国に一年間留学。水墨画を学んで技術の幅を広げた。

 一一年、実家を建て替えて念願の美術館を開設し、母子の作品を展示している。「気軽に芸術に親しんでほしい」と、片隅にアトリエを設けて制作現場を見学できるようにした。

 これまでに国内をはじめ、ブラジル、中国、米ニューヨークなどで次々と個展を開催し、人脈を増やしてきた。地元では、まちづくり活動に関わっている。「社会を竹林のようにしたい。友情の輪を広げて、地下茎のような絆を結びたい」

後記

 「和代ちゃん、ただいま」。夕方になると、小学生や中学生が毎日のように遊びに来る。「先生」とは呼ばせない。子どもが自由にゲームをしたり、愛犬・大地と遊んだりする光景は一つの家庭のよう。

 寡黙な画家は多いが八十山さんは「快活」の言葉がよく似合う。作品だけでなく人柄でもファンが増えていくのだろう。 (木村春毅)

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索