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匠を訪ねて

[2]ちょうちん職人 亀井斉さん(68) 祭りの光 ずっと

和紙を貼ったちょうちんに筆を入れる亀井さん=いずれも中能登町高畠で

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能登の文化 守り続ける

 爪の先ほどの細い竹ひご。端と端をのり付けしてつなぎ合わせる。「ゆるやかな曲線になるように。骨組みはちょうちんの基本」。明治時代から続く「亀井ちょうちん店」の三代目亀井斉(ひとし)さん(68)=中能登町高畠=は、小学生の時から先代の父駒吉さんを手伝ってきた。

 「職人かたぎの父でね。教わるというより、見よう見まねで技を覚えたね」と振り返る。

 十五年前、駒吉さんが体調を崩したのをきっかけに会社を辞め、家業を継いだ。二人三脚で仕事をしてきた駒吉さんは昨年、九十五歳で亡くなった。今では、能登で唯一のちょうちん職人だ。

 「子どものころは、各町に一軒はちょうちん屋があった」。街灯が整備され、懐中電灯が普及すると、役目は減った。現在は祭事の盛んな能登を中心に地区の祭りの先導や神社、玄関先に飾る家などに卸している。

 竹ひごの土台に、五箇山(富山県)のコウゾの和紙を、竹ひごの曲線に合わせて貼る。和紙の上に絵の具で文字や色を付けるのは、妻一子さん(65)。しゅうとめさんを見習って覚えた。

ちょうちんの骨組み(左下)に和紙を貼った状態(中央下)と完成した作品(右下)

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 ちょうちんは小さい手持ちのサイズで高さ二十センチ、幅二十五センチ。大きいものは背丈を超える。祭りの集中する夏場は書き入れ時。七尾市内で働く長男博智さん(43)も手伝い、百個ほど仕上げる。「一度作れば五十年、百年と長持ちするのが手作りのよさ」。百個のうち九割は修理品。使い込んだものは、手仕事でないと直せない。

 材料の調達に頭を悩ませる。強度のある表皮が付いた竹ひごが手に入らない。代わりに、ピアノ線に和紙を巻いた針金を使うことが増えた。ちょうちんの上下の土台となる木製の曲げものは輪島市の職人に依頼しているが、七十代と高齢で後継者がいない。

 機械による大量生産が増えたが、その和紙のムラや凹凸といった雑なつくりを見ると許せない。「町内でも、一度なくなった地元の祭りが最近になって復活している。求められている限り続けていきたいね」

後記

 「のりはどこで注文するんですか」と記者が尋ねると「食べてもいいぞ」。

 すり鉢の中に、タピオカの粉を水で溶いて加熱した透明なかたまりがあった。すりこ木でたたけばたたくほど、でんぷんが作用して粘りが出るという。

 「手間かけんとなんもできん」。手作りを結集した伝統の明かりから、人の手の温かみをひしひしと感じた。 (荒木正親)

 

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