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【脈々と】 〜根付き広がる系譜〜

[4]鶴来坂田道場 柔の道  弟子と考え技磨く 

子どもたちに柔道の指導をする坂田実さん(中)=白山市の鶴来坂田道場で

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「飽きない練習」強くなる

 「指導に迷うと、先生だったらどうするだろうかといつも思う」

 白山市笠間中学校の教諭、江口遼至(24)は打ち明ける。先生というのは鶴来坂田道場(同市知気寺町)の師範坂田実(64)のことだ。「悩んでいる生徒に声をかけるべきか、考えさせるべきか」。二年目の教師。気付くと坂田の顔を思い浮かべている。

江口遼至さん

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 がに股を個性ととらえ、生かせる技を一緒に考えてくれた。小学生にも意見を求め、子どもでも平等に扱う。「人間は衰えていくところまで教えるのが指導者だ」と語った言葉。練習の途中で突然始まる人生訓。人として多くのことを学んだ。

 江口が顧問を務める笠間中柔道部は昨年、創部以来初めて県大会男子団体で優勝し、全国大会に出場した。

 坂田は金沢市消防局の消防士として働きながら柔道の技を磨き、一九八四(昭和五十九)年に白山市荒屋町に鶴来坂田道場を開いた。八九年の全国少年柔道大会の団体で準優勝したのを皮切りに、個人や団体で全国大会の常連になった。二〇〇〇年に現在の知気寺町に移転し、〇二年には男子団体で悲願の日本一に輝く。

 六百人ほどの教え子の中には、北京五輪に出場した金丸雄介(32)や柔道世界選手権で優勝した森下純平(21)がいる。昨年十二月の柔道グランドスラム東京大会の女子52キロ級で優勝した宮川拓美(17)=小松大谷高=も道場生だ。

山崎誠さん

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 坂田の生き方をなぞるように金沢市消防局で消防士の傍ら坂田道場で指導している山崎誠(33)は「金丸や森下ら有名な選手が目立つが、驚くべきことは大人になっても柔道を続ける人が多いことだ」と力説する。

 山崎は秘訣(ひけつ)を毎回違う練習にあると見る。「同じ練習メニューがなく、飽きることがない」。一つの技を一回の稽古でずっと研究した時があった。相手の体勢を崩すには八方向あり、その全てで相手を崩してから技を掛ける練習も忘れられない。八五年に道場の門をたたき、現在鶴来中学校の柔道部顧問、道上寛之(36)も「マンネリ化しない練習を見習いたい」と語る。

 常に刺激を受け、柔道が大好きな道場生たちだけに吸収は早い。「先生は柔道の教科書みたいな存在なので、足さばきや腕の運び、相手の崩し方など、基本の動きが知らず知らずに身に着く」と、山崎は強さの秘密を分析する。

 小学生の時に二回、中学で一回、県大会で優勝した経験を持つ斎藤牧子(37)は「小学生のころは柔道をやらされている感じがあって、辞めたくてしょうがなかった」と振り返る。「中学三年から鶴来坂田道場に通い始め、柔道が大好きになり大学まで続けた」と語る。

 斎藤は現在、中学一年と小学四年の娘を、坂田が師範を務める北陸綜合警備少年柔道教室(金沢市)に通わせている。そして中一の娘は、笠間中に進み、坂田の教えを受けた江口が顧問の柔道部で鍛錬を積んでいる。

 鶴来坂田道場は「鍵を掛けない道場」として知られる。好きなときに好きなだけ柔道をしてほしいとの坂田の思いからだ。道上は「先輩が道場にいつでも立ち寄って後輩を指導する。その繰り返しで、実先生の志が受け継がれていく」と語る。坂田から教え子へ、そして先輩から後輩へ。坂田の教えは途切れることなく受け継がれていく。 =高橋貴仁

 (敬称略)

 

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