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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第3部 いのち】 能登の救命 最後の砦

搬送された患者を治療する後藤由和医師(左から2人目)ら=28日、石川県七尾市の公立能登総合病院で(中川紘希撮影、一部画像処理)

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七尾の公立能登総合病院

 石川県能登地区で唯一、救命救急センターの機能を備える「公立能登総合病院」(七尾市)。命を守る「最後の砦(とりで)」として24時間体制で重篤な患者を受け入れ、医師や看護師、職員たちが日々、全力を尽くす。(中川紘希)

 二十八日午後、「呼吸が苦しい」と言う乳がんを患う羽咋市内の八十代女性が搬送されてきた。看護師が素早く血圧や脈拍などを測定する。その時、そばで見守っていた後藤由和医師(58)の携帯電話に、新たな救急搬送の受け入れを求める連絡が入った。

 十分後、センター近くの介護施設から女性が、重度の低血圧で運ばれる。

 「九十一歳、七尾、ショック(低血圧の意味)」

 後藤医師が大きな声で状況を伝え、ベッドの確保、点滴や検査器具の準備を促す。同時に、過去の診断結果をチェック。主治医に電話を入れ、もともと血圧が低い患者だと確認した。

 朴在鎬(パクチェホ)センター長(54)は「範囲が広い能登では搬送に三十分以上かかることも多い。到着までに多くの情報を集め、迅速な処置につなげている」と話す。

 搬送されてきた女性は、呼び掛けても返事はなかったが、呼吸はしていた。その後の検査で、体内に菌が侵入した尿路感染症と分かった。女性の長男(66)は「ほっとした。この病院は近くにあり、昔からお世話になっていて頼りになります」と胸をなでおろした。

 センターには平均で一カ月に約百四十人の患者が、脳卒中、心臓病、肺炎などで搬送されてくる。治療に当たるのは、センターに交代で詰める約三十人の病院各科の医師と約四十人の看護師たち。専属の医師が九人いる「県立中央病院」(金沢市)の救命救急センターと比べると、体制は相当に厳しい。

 加えて、能登地域の開業医は高齢化し、医師の数も減っているため、かかりつけ医としての役目も担わざるを得ない能登総合病院の医師たちの負担は増している。ただし、医師たちの救急救命に携わる思いはどこにも負けない。

 朴センター長は「都市も過疎地も人命の尊さは同じ。この土地の救命を支えているという自負心を持ち、各科で連携して取り組みたい」と語った。

 救命救急センター 重篤で治療の緊急性が高い患者を24時間体制で受け入れる医療機関。県内では公立能登総合病院と県立中央病院がこの機能を担う。さらに高度で特別な治療が必要になる場合は、金沢大病院救急部と金沢医科大病院救急医療センターが患者を受け入れる。

石川テレビで今夕特集

 北陸中日新聞は石川テレビ放送と「守る」という言葉をもとに取材し、共同報道企画「守る」を隔週で、連載しています。石川テレビの特集は31日午後6時25分ごろからの「石川さんプライムニュース」で放送します。

 

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