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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第2部 伝統】庭師忙し 美を後世に 兼六園

唐崎松を「葉むしり剪定」する志々目均さん=金沢市の兼六園で

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 国の特別名勝で日本三大名園の「兼六園」(金沢市)。その景観を守るのが専属の庭師だ。六人の庭師をまとめる志々目(ししめ)均さん(50)=同市=は、この道三十年以上のベテラン。「向上心を失ったら職人はだめ。兼六園をよりよくし、後世に受け継いでいく」と作業に精を出す。(稲垣達成)

 木をすいすいと登ると、志々目さんはあっという間に高さ約十メートルの位置に達した。葉を摘み、はさみで枝を切断する。まなざしは真剣そのもの。今の時期は、見栄えをよくするため、マツの剪定(せんてい)を行う。週五日、午前九時前から約八時間、作業を続ける。

 庭師になるつもりはなかった。石川県立松任高校を卒業後、アルバイト先の上司に紹介されて、「見習い生」として兼六園の庭師になった。当時十九歳。庭の手入れなどしたことはなく、技術もなければ、熱意もなかった。「いつ辞めてもいいや」

 そんないいかげんな意識を変えてくれたのが親方だった。剪定の意味や切断する枝の選び方などを、一からたたき込まれた。素早く、きれいに仕上げる親方の姿を見て、気付けば「あんなふうになりたい」と志々目さんは思うようになった。

 木に肥料をやるほか、雑草を抜く。大雪に備えて冬の前には園内の木々に「雪つり」を施す。やることは一年中ある。小さな木は個々で行うが、園内随一の枝ぶりを誇る「唐崎松(からさきのまつ)」は、庭師全員で力を合わせる。木が大きくなればなるほど、達成感も増す。

 庭師になり、三十年がすぎたが、親方に追いつけたとは思っていない。「かつて親方に『木の声が聞こえないか』と言われたが、いまだに分からない。どの枝を生かすか迷い、樹上で考え込むこともある」。速さも出来栄えもまだまだと、親方の背を追って、さらなる高みを目指す。

 いつも、背中に「庭師 兼六園」という文字が染め抜かれたはんてんを着ている。

 「兼六園に来て『え、こんなところか』と思われたら悲しい。四季の感じられる庭だからこそ、年に最低四回は来てほしい。人を呼ぶからにはきれいにしないとね」

石川テレビで今夕特集

 北陸中日新聞は石川テレビ放送と「守る」という言葉をもとに取材し、共同報道企画「守る」を隔週で、連載しています。石川テレビの特集は13日午後6時25分ごろからの「石川さんプライムニュース」で放送し、志々目均さんのインタビューを後日、金沢版で掲載します。

 

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