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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第2部 伝統】金石の悪魔払 踊り手 高校生のバトン

100年以上前から続く「悪魔払」を踊る若者たち=金沢市金石本町で(草野大貴撮影)

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 北前船の港として栄えた金沢市金石地区には、若者が受け継ぐ「伝統の舞」がある。その名も「悪魔払(ばらい)」。高校生だけで踊る。毎夏、催される大野湊神社例大祭で披露され、地元の人から愛され続けている。(草野大貴)

 例大祭最終日の五日夕、金石本町の歩行者天国に、てんぐ、般若、恐ろしい老人の悪尉(あくじょう)の面を着けた若者が、まさかりや刀などを持って登場した。しの笛、太鼓の音に合わせ、目に見えぬ悪魔を調伏するかのよう勇壮に踊る。異形の姿に驚いて泣く子もいて、周りは熱気に包まれた。

 金石の「悪魔払」は百年余り前に始まった。もともとは、病気の人や身内に不幸があった家で行われていた一種の儀式で、金沢の各地で行われていた。明治に入って、金石にいた俣田市太郎が例大祭に取り入れたと、地元で伝えられている。

 高校三年で、今年が最後の参加となったてんぐ役の時女海夢(ときめかいむ)さん(18)は「小さいころから憧れていた。今年の夏は、祭りに百パーセント」と話した。本番直前の一日夜には、踊り手らで集まり、汗だくになって練習を重ねた。

 なぜ、高校生しか参加できないのか。その理由は定かではない。金石町壮年会の高木敬明会長は「高校の三年間だけの方が祭りへの思い入れが強くなるからではないか」と言う。

 歩行者天国での踊りを終えると、踊り手たちは例大祭でまちを回ったみこしが大野湊神社に戻るのを待つ。そのころには日が暮れ、境内は静寂に包まれる。

 「さあこれで終わりやぞ」。かつて踊り手を務めた大屋慶太郎さん(21)が、踊り手たちに声をかけた。周囲のざわめきは消え、しの笛、太鼓の音色だけが境内に響きわたる。勇壮そのままの踊りだが、どこか厳かな感じが漂う。

 「最後の演技は、本当に短かった。もう祭りに出られないと思うと寂しいけど、自分が先輩から教えてもらったように、来年からは後輩の指導に回ろうと思っている」。時女さんはそう語り、全てをやり終えた様子だった。

石川テレビ 今夕特集

 北陸中日新聞は石川テレビ放送と「守る」という言葉をもとに取材し、共同企画「守る」を隔週で、連載しています。石川テレビの特集は9日午後6時25分ごろからの「石川さんプライムニュース」で放送し、大屋慶太郎さんのインタビューを後日、金沢版で掲載します。

 

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