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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第2部 伝統】虫送り太鼓 心打つ響き 金沢・田上本町 昨年復活

トラックに載せた太鼓をたたく谷内和美さん(左)と音色を聞く人たち=金沢市で

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 豊作を願う「虫送り太鼓」の音が、今夏も金沢市田上本町に鳴り響いた。この伝統行事は半世紀ほど途絶えていたが、昨年、地元育ちの学校職員谷内(やち)和美さん(62)らが復活させた。「ここが故郷。ここで暮らす人たちの心も打つようにたたきたい」。次世代に音色を伝えていく。(山内晴信)

 「ドン、ドン、ドドン」。二十一日、谷内さんら七人がトラックの荷台に載せた長胴桶太鼓(ながどうおけだいこ)(直径一メートル)をたたいていた。約一時間、町内を回ると、子どもたちが手を振りながらトラックを追いかけ、お年寄りは昔を懐かしんだ。

 たいまつをたいて害虫を追い払い、太鼓をたたく。それが江戸時代から続く「虫送り太鼓」だ。害虫駆除の風習は全国にあるが、金沢くらしの博物館の東条さやか学芸員によると、合わせて太鼓をたたくのは石川県独特の風習だという。

 田上本町には四つの長胴桶太鼓があったが、農地の宅地化が進み、一九六〇年代半ばには、虫送り太鼓をやらなくなった。七一年に「保存会」を結成し、金沢百万石まつりに参加していたが、それも八〇年代前半まで。

 「祭りのようだった。お父さんたちの勇ましい様子を覚えている。すごく格好良かった」。寂しく思っていた谷内さんは二〇一五年の夏、ぼろぼろになった長胴桶太鼓を町会の倉庫で見つけた。当時は町会の役員で、「捨てるのはもったいない」と、皮を張り替えて色を塗り直した。

 だが、道具だけでは足りない。写真や資料を集め、当時を知るお年寄りに話を聞いてまわった。そうして谷内さんらがたたいた太鼓の音に、たたき手だった山根悟さん(82)は「そんでいいんや」と言ってくれた。

 今は週に一回、復活した「保存会」が練習を行い、主要メンバーの四十二〜六十七歳の男女七人が集う。その一人、六年前に引っ越してきた木村婦美子さん(42)は「魅力にどっぷりとはまってしまった。この先もやりたい」。

 現在、町の人口の約五分の四は新住民。「太鼓で人が集まった。町のみんながつながりを持てるんじゃないかな」。虫送り太鼓が、田上本町のアイデンティティーをつむいでいくと谷内さんは信じている。

石川テレビで今夕特集

 北陸中日新聞は石川テレビ放送と「守る」という言葉をもとに取材し、共同企画「守る」を隔週で、連載しています。石川テレビの特集は26日午後6時25分ごろからの「石川さんプライムニュース」で放送し、谷内和美さんのインタビューを後日、金沢版で掲載します。

 

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