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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第1部 子ども】幼少期に虐待受けた女性 施設支援「笑顔にしたい」

チョコレートを手作りする蒲田ちかさん=金沢市山の上町で

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 金沢市内でチョコレートを製造販売する「ロータスコンセプト」代表の蒲田ちかさん(47)は幼い頃、虐待を受けた。自身の経験から、児童労働をさせていないベトナムの畑で採れたカカオ豆を選んで原料に使う。売り上げの5%は児童養護施設の支援へ。思いは一つ。「子どもたちを笑顔にしたい」(横井武昭)

 幼少期、性的虐待を受けたが、父も母も気づかなかった。「良くないことが起きていると認識していた。でも、子どもって良くないことは隠そうとする。相手に脅され、言ってはいけないとも思っていました」

 誰にも相談できず、自分の中に恐怖を閉じ込めて育ち、大人になっても心の傷は消えない。「魂の殺人とも呼ばれる虐待。傷はずっと引きずる。自己肯定感が低く、ずっと汚れた人間だと思って生きてきました」

 一方で、自分のように苦しむ子どもを救いたい。そんな思いもずっとあった。会社勤めをやめて二〇〇四年、石川県内灘町内でベトナムの輸入雑貨を扱う店を始め、一五年に金沢市内に事務所を移し、昨年からチョコレートの製造販売を始めた。

 発展途上国でのカカオ豆栽培では、児童を働かせるケースもあるが、それも虐待だから、そんな豆は使えない。さらに、「子どもはピュアな存在だから、ピュアなものを」と、無農薬栽培のカカオ豆でチョコレートを作る。商品名は「ラブ・ロータス」だ。

 顧客だったNPO法人「ロータス」(福島県会津若松市)と一緒に昨秋から、児童養護施設の子たちに木製のおもちゃで遊んでもらう活動を始めた。「寄り添って、夢や希望を持つ手伝いをしたい」。いずれは、施設にいた子に一緒に働いてもらいたいとも思う。

 ちなみに、「ロータス」は英語でハスを意味する。「ハスは光の見えない泥の中から美しい花を咲かせる。いつか、きっと自分らしい花が咲く。苦しむ子どもたちに『諦めないで。大丈夫だよ』って伝えたい」

県内相談件数昨年度867件

 石川県によると、二〇一七年度に県内の児童相談所で対応した児童虐待の相談件数は八百六十七件で、前年度より二十一件増えた。内訳は、心理的虐待が48%、身体的虐待が29・7%、性的虐待が1%など。

 虐待問題に詳しい西村依子弁護士(金沢市)は「特に性的虐待は回復が難しい。人間の尊厳の根本を侵害され、自分が大切な存在であるという思いが持ちにくい」と指摘する。その上で、「子どもによく接する人が普段との様子の違いに気付き、おかしいと思ったら児童相談所に連絡することが大事だ」と話す。

石川テレビで今夕特集

 北陸中日新聞は石川テレビ放送と「守る」という言葉をもとに取材し、共同報道企画「守る」を隔週で、連載しています。「紙」と「映像」という異なったメディアを通じ、現代の問題を浮き彫りにします。

 第1部「子どもを守る」の石川テレビの特集は「石川さんプライムニュース」で、24日午後6時25分ごろから放送する予定です。

 

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