トップ > 石川 > 記者コラム:窓 > 記事

ここから本文

記者コラム 窓

黒ビール

 六月の声を聞くと、黒ビールが恋しい。茨木のり子さん(一九二六〜二〇〇六年)の詩の一節を思い出すのだ。

 どこかに美しい村はないか/一日の仕事の終わりには一杯の黒麦酒/鍬(くわ)を立てかけ 籠を置き/男も女も大きなジョッキをかたむける

 題は「六月」。日々の取材で、田んぼや畑に日焼け顔を見るたび、私もひと汗かいて黒ビールを、と思う。

 詩には「同じ時代をともに生きる/したしさとおかしさとそうして怒りが」とも。茨木さんの作品には時代を経ても「今」を感じる。作品世界を味わうほどに、黒ビールを飲む「美しい村」とは、一国の宰相がうたう「美しい国」を見透かしての怒りの表現ではないかとさえ思えてくる。

 きのう六月十二日は茨木さんの誕生日。黒ビールでひとり乾杯をした。 (小塚泉)

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索