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加賀の千代

待暮も曙もなき紙衣かな(下)

 一九五七(昭和三十二)年発刊の「女流俳人」で俳文学者川島つゆは「かさかさとした紙衣の手ざわりに、過去の情痴を夢と観ずる老女の色褪(あ)せた思い出である。(中略)老いた名妓(めいぎ)の唇から流れ出る情欲のようなこの句の中に、彼女の身の上の秘密は語られていると思う」と書き、この句によって千代の不嫁説を疑っているが、筆者も同感である。今は紙衣を着た老いた女性が、かつてどのような青春を過ごしたか、喪失した夢がどれほど大きかったかは知られていない。この句は題詠や思い付きで詠まれた句ではない。

 (俳文学会員・山根公)

 

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