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五輪へ次世代を育成 「競歩の聖地」輪島

小中学生に競歩に関心をもってもらおうと開催しているスピードウオーク大会=輪島市で(2018年4月撮影)

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 誰よりも速く歩く。単純なようだが、陸上競技で最も過酷な種目とされる「競歩」。日本人が五輪でメダルを狙える種目として注目されているが、輪島市が競歩の聖地となって半世紀がたとうとしていることを知る人は少ない。なぜ聖地となったのか、聖地は今後どうなるのか。関係者に歴史や展望を尋ねてみた。

 それまで開催地を全国で転々としていた競歩の全日本選手権が、輪島市で初めて開催されたのは一九七〇年。ただ、そもそもなぜ開催地となったのか。市陸上競技協会の竹園昌治副会長(79)は「輪島市は小さい町だが、昔からスポーツが盛んだった。当時の協会は、格のある大会を開くことで地域のスポーツ文化をさらに盛り上げようとしたのではないか」と推察する。

 当時の競歩大会は時間制限がなく、競技終了まで十時間以上かかることもあったため、交通量の多い都会での開催は難しかった。そのため交通量が少なく、何よりも開催に前向きだった輪島市に白羽の矢が立った。竹園さんは「面積が広くコースもつくりやすかったのでは」とも分析する。

 男子20キロは能美市に開催地が移る前年の二〇〇六年まで、男子50キロは現在まで、国際大会に合わせたコースに変更しながら開催を続ける。昨年は全国初の女子50キロも開催され、聖地としての歴史を重ねている。そんな中、地域では聖地の次世代を担う人材育成にも力を入れている。

 一〇年からは小中学生に競技に関心を持ってもらおうと、大会に合わせてスピードウオーク大会を開催。一四年には両親が輪島市出身という縁もあり、元競歩日本代表の谷内雄亮さん(39)を市職員として採用し、若年層の育成に尽力してもらっている。

 昨年は地元の中学生が全国大会で優勝。谷内さんは「輪島の選手が活躍すれば、競歩をやってみようと思う子が出てくる。全国レベルの選手を間近で見る機会もあり、良い流れができている」と手応えを語る。

 関係者が口をそろえる次の目標は、地元から五輪選手を輩出すること。市体育協会の宮地治会長(66)は「環境整備と指導者確保という競歩文化を盛り上げる準備は整った。後はみんなが誇りに思える実績が必要だ」と力を込める。聖地の歴史は、まだ序章なのかもしれない。

  (関俊彦)

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頂点目指す姿 かっこいい

 高校時代、陸上部だった記者は円盤投げが専門だった。足も速くなく、持久力もない。活躍できる場を探し求めた結果だった。競歩も円盤投げと同じく花形種目ではないだろう。ただ、どんな種目でも頂点を目指す姿のかっこよさは知っているつもりだ。聖地にいる子どもたちには、誇りを持って競歩をしてほしい。

 競歩 設定された距離を速く歩く競技。どちらかの足が地面に接していないといけない「ロスオブコンタクト」、前足の膝を地面についてから地面と垂直になるまで曲げてはいけない「ベントニー」など歩き方にルールがある。日本では輪島市、能美市、神戸市、高畠町(山形県)で四大大会が開催されている。五輪では男女20キロ、男子50キロが実施されているが、競技時間などの関係で距離短縮も議論されている。

 

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