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職人は向上心を持たないと駄目だね 兼六園専属庭師 志々目均さん

「親方に大事に育てられた」と話す志々目均さん=金沢市の兼六園で

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 十三日付朝刊一面に掲載した連載企画「守る」で紹介した兼六園専属庭師のリーダー、志々目均さん(50)のインタビューです。(稲垣達成)

 高校を卒業して、住宅公社で事務のバイトをしていた。上司から「次、どうするん」と聞かれ、今でいう「ニート」になると言ったね。周りがそうだったから。そしたら、「そんなの駄目や」と兼六園の庭師の仕事を紹介されたんだよ。

 兼六園は歴史が長い。代々、守っていかなければならないと今は分かるけど、当時は、何とも思わなかった。いつやめてもいいや。軽い気持ちだったね。

 やってみると、どの枝を切るか分からなかった。というか、切る所なんてどこにもない。親方はすごい。すいすい木に登って、ささっと仕上げていた。格好良かった。「こんなおっさんいるんだあ」って。気付いたら、あんなふうになりたいなと思っていたね。

 この時期にやる作業の一つは「葉むしり」。これは単純。去年の葉と長い新芽を摘む。新芽は黄緑色に近いから、色は見れば違いが分かる。難しいのは剪定(せんてい)だよ。どの枝を切るか。今でも、迷って考えることもある。親方には「木の声が聞こえないか」と言われたけど、まだ、分からないね。

 三十年以上たつけど、まだまだ親方には追いつかない。速さも出来栄えも。作業していても、常に親方が仕上げたマツのイメージが頭にあるなあ。

 怖いのは、台風だね。天気予報を見ていて、直撃だけはやめてくれと願っている。あとは、松くい虫。消毒液をかける、肥料をやるといったできるだけの努力をして備えても、やられるときはやられちゃう。庭師にはどうにもできない。

 兼六園は太い木があっても庭が負けていない。木が大きくなっても景観が狂わない。それが魅力だよね。いまだに園内のどこに何の植物があるか、全ては分からない。

 木を枯らさずにどう守っていくか。庭を受け継いでいくには、向上心を持ってやらないと職人は駄目だね。若い庭師たちは、優秀だよ。皆、俺と違って民間の造園業者で経験を積んでいるから。先の心配は何もない。大丈夫だよ。

 ししめ・ひとし 1968年生まれ。趣味はボディービルで、2010年9月には北陸甲信越選手権で優勝している。

 

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