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九谷焼 女性初の素地師 県技術者自立支援工房 金沢の藤崎さん

藤崎千尋さん(奥)が手掛ける造形の美しいオリジナルの器=能美市の県九谷焼技術者自立支援工房で

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 九谷焼の若い作り手に作陶設備を貸している県九谷焼技術者自立支援工房(能美市)で四月から、金沢市の藤崎千尋さん(26)が、工房初の女性素地(きじ)師として活動している。造形と釉薬(ゆうやく)にこだわってオリジナルの完成品も創作する藤崎さんは「自分の作った作品をいろんな人に使ってもらえたらうれしい」と話している。(吉野淳一)

 九谷焼の流通品の多くは素地師と絵付け師の分業で作られている。素地師は絵付け師の注文を受けて成形した「生(なま)素地」を提供するが、女性は絵付け師になる人がほとんど。二〇〇一年の工房の開設以来、三十四人が利用したが、女性の素地師はいなかった。松島一富館長(60)は「藤崎さんは黒ずみのない高品質な素地を仕上げると評判」と話す。

 熊本県出身の藤崎さんは高校を卒業後、金沢美術工芸大に入学。一年の時、陶芸家の森岡希世子さんの作品に感銘を受けた。「同じような形をした器でも、森岡さんの作品は凜(りん)とした広がりを感じさせる。私の憧れ」。卒業後三年間、県内の別の作家の下で働き、四月から支援工房に入った。

 「ろくろで粘土が形を変えるのを見るのが好き。ずっとろくろを触っていたい」と藤崎さん。釉薬の色の変化にも興味があり、調合を研究している。派手な絵付けがない藤崎さんのオリジナル作は、パっと見の華やかさはない。ただその分、作品の出来にごまかしが利かないという。藤崎さんの器はシンプルさの中に、うっとりとさせる造形美を秘めている。

 分業で作られる九谷焼は、素地の形と絵のデザインが調和していないケースが少なくない。絵付け師に比べて素地師が少なく、両者のコミュニケーションが取れていないことが一因といわれる。藤崎さんは「絵付け師の絵柄とマッチする素地を作り、九谷焼産業を支えたい。自分の作品も追究し、力のある作家の一人になるという目標もある」と意気込んでいる。

 

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