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漁師の知 学び伝え36年 のとじま水族館 定年退職の池口前副館長

「豊かな環境の能登は離れがたい」と話す池口新一郎前副館長=七尾市能登島曲町で

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漁同行や情報提供…感謝語る

 のとじま水族館(七尾市)を三月末で定年退職した前副館長の池口新一郎さん(60)は、三十六年間にわたり飼育や企画展に携わってきた。「何もかも漁師さんたちに協力してもらった」と、支えてくれた漁業者への感謝と、理想の水族館実現というさらなる夢への思いを語った。(松村真一郎)

 「海の専門家である漁師さんたちは、自分にとって先生だった」

 のとじま水族館で働き始めた当初は、能登の海の生き物について知識がなかった。早朝に能登各地の漁港に行き、漁船に同乗させてもらいながら、水揚げされる魚の種類を漁師に聞いて回った。

 何度も顔を出すうちに、「これ見たことあるか」と、見慣れない生き物を教えてもらえるように。生きていれば、水族館に運んで展示した。

 能登島周辺でのみ生息が確認されている新種「ヒャクメヒトデ」も、漁師からの情報提供が発見のきっかけだった。「水族館にとって、地元の漁師さんたちは欠かせない存在だった」

 水族館の企画展では、能登周辺の生き物にこだわった。来場者に楽しんでもらうことはもちろんだが「能登には多様な生き物がいるから、きれいな海をこれからも守ろうと思ってほしいと伝えたかった」。生き物の展示だけでなく、生態や生息環境の解説も添えた。

 中学生の時、修学旅行先の水族館で、きれいな音楽とともにハタハタが泳ぐ姿に感動し、水族館職員を志した。のとじま水族館での若手時代に、イルカに尻尾でほおをたたかれ、奥歯が二本折れたことは、今となっては笑い話。退職後は、新潟県上越市に六月に開館する水族館の副館長として、新たな道に進む。

 「いつかは、自ら運営する水族館を創りたい」。目指すのは、勉強の場としての水族館。例えば、能登であれば定置網やボラ待ちやぐらといった海と人が古くからつながってきた歴史がある。「海外では、水族館は博物館だという考えが一般的。地域の特色を紹介し、子どもたちがメモを取りながら回れるような展示を実現するのが、これからの夢です」

 いけぐち・しんいちろう 1957年、愛知県生まれ。近畿大農学部水産学科を卒業後、国家公務員を経て、82年からのとじま水族館で働く。魚類課長、展示海洋動物課長などを歴任し、2010年から今年3月末まで副館長を務めた。

 

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