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亡き父にささぐ「でくの舞」 山口久仁さん 熱演決意

でくを操る故山口栄一さんの写真の額を手にする久仁さん=白山市東二口で

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「そばで見てくれている」

 十日開幕した白山市東二口(ひがしふたくち)に伝わる東二口文弥(ぶんや)人形浄瑠璃「でくの舞」の定期公演から、一人の演者が姿を消した。三味線を担った山口栄一さんで、昨年十一月に六十九歳で亡くなった。五十年以上伝統芸能を守ってきた父の背を追うように、自身も担い手になった長男久仁(ひさひと)さん(28)=東二口=は「父はきっとそばで見てくれている。一生懸命演じたい」と話している。(谷口大河)

 でくの舞は、三百五十年以上の歴史がある国の重要無形民俗文化財。住民や出身者十数人でつくる保存会が継承し、物語を語る「太夫(たゆう)」、人形(でく)を操る人形遣い、三味線や笛の演奏などを分担している。

 栄一さんは十代から舞台に立ち、十数年前からは三味線を手に上演の土台になる拍子を刻み、演目「門出屋島(かどいでやしま)」の太夫も務めた。久仁さんは「楽しそうに人形を操る父を見て自分も演じたくなった。面白さを教えてくれた」と語る。

 別れは突然だった。昨年十一月十六日、栄一さんは自宅で急死した。その四日前には新潟県佐渡市で公演し、前日には地元の子どもたちに手ほどきするなど、最期まででくの舞に熱意を傾けた。

 栄一さんの穴は大きく、今回の定期公演では三味線なしで臨むことを決めた。「門出屋島」の上演も哀悼の意を込めて見送った。

 今月十、十一両日の公演を終えた久仁さんは「人形を操りづらかった」と父の三味線がない舞台を振り返る。定期公演は十七日午後七時、十八日午後二時からの残り二回、白山市東二口歴史民俗資料館である。父の死を悲しむ保存会員らのためにも、精いっぱい演じるつもりだ。

 

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