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還暦の挑戦 すし店開業 公務員から転身、小松の武腰さん

自身のすし店で板場に立つ武腰泰人さん=石川県小松市飴屋町で

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 石川県能美市役所の元職員、武腰泰人(やすひと)さん(61)=同県小松市吉竹町=が、小松市飴屋町で昨年九月にすし店を開業した。全くの素人からすしを学び、幼い時からあこがれだったすし店の板場に立つ武腰さん。長年の夢をかなえた今は「まだまだ勉強中だけど、お客さんが満員で、入りたいけど入れないような店を目指したい」と次なる夢を語る。(谷大平)

 JR小松駅前にあるアーケード街の一角に、木調の外装がひときわ目を引く店がある。「江戸前鮓(すし)処 人(じん)」と書かれたのれんをくぐると、店内には真新しい内装と純和風のカウンター席と小上がり席が広がる。

 武腰さんがすしの世界に入ったのは六十歳になってから。高専卒業後に旧寺井町役場に入り、現在の能美市役所を五十三歳で退職。一時は実家の家業である九谷焼の世界に入ったが、幼い時に母親が家で作ったしめさばや近所で親戚が経営する店で食べたすしの味が忘れられなかった。

 「大好きなすしの店を始めたい」と一からすしを学ぶため、二〇一六年十月に「東京すしアカデミー」(東京都新宿区)に入校。学校の近くに短期契約で家具付きの賃貸マンションを借り、職人を養成する専門学校に二カ月間通った。

 それまでは客として何げなくすしを味わっていた。専門学校で空気を含ませるようにするしゃりの握り方、しょうゆが落ちないように工夫したネタの切り方も初めて知った。作る立場になってからあらためて感じたすしの奥深さ。三十代がほとんどの同期に交じりながらも「毎日が感動の連続で楽しかった」。気持ちは若者と変わらなかった。

 専門学校を卒業した後、実務を勉強するため金沢市内のすし店で五カ月間、修業した。昨年九月に自身の店をオープンさせ、店名に「人」という文字を入れた。「六十年生きてきて、いろんな人に巡り合い、助けられた。その人たちに感謝したい」との思いを込めた。

 念願だったすし店の板場に立つと、お客さんに見られているという緊張で最初は手元が震えた。それでもすし職人になってからは「お客さんから手の込んだネタを褒めてもらえると、やっぱり一番うれしいね」と笑顔をみせる。「すしの世界ではまだまだ駆け出しの身。店に来てくれる地元の人や県外のお客さんと一緒に店をつくっていければ」。言葉に謙虚な人柄がにじむ。

 

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