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県文化財 4件指定へ 利休所有「黒楽茶碗」や等伯屏風

「紙本金地著色観桜・観楓図六曲屏風」の右隻(県立美術館提供)。保存状態も良く、初期風俗画として評価されている

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 安土桃山時代の茶人、千利休(一五二二〜九一年)が所有し、わび茶の思想を凝縮したとされる黒楽茶碗(くろらくちゃわん)をはじめ、桃山時代の画家、長谷川等伯(七尾生まれ、一五三九〜一六一〇年)の屏風(びょうぶ)など四件が、十二日の県文化財保護審議会で県文化財として指定するよう答申された。県公報で告示され、指定される。(鈴木弘、沢井秀和)

 四件は「北野」と箱書きされた黒楽茶碗(県立美術館蔵)、等伯の「紙本墨画(しほんぼくが)松竹図屏風」(県七尾美術館蔵)と「紙本墨画猿猴(えんこう)図屏風」(同)、江戸時代前期に描かれた「紙本金地著色観桜・観楓(しほんきんじちゃくしょくかんおう・かんぷう)図六曲屏風」(県立美術館蔵)。

千利休が所有し、わび茶の思想を凝縮したとされる「黒楽茶碗」

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 黒楽茶碗は楽焼の陶工、長次郎の作で、光沢が少なく、作陶した当初の肌合いがあるという。

 利休のひ孫である千家四代の江岑宗左(こうしんそうさ)が利休の判が茶碗に以前あったが、見えない状態であることを記した書状が添えられている。宗左が箱のふたに「北野黒」と記しており、利休が所有した後、北野天満宮(京都市)近くにある興善院に渡り、「銘北野 黒楽茶碗」として伝わってきた。

 等伯の松竹図屏風は、二曲一隻で、縦一六二・四センチ、横二四一・二センチ。大きな松を左手に濃淡の墨で竹を描き分けて奥行きがある。等伯の地元での展示を願う京都造形芸術大から七尾市が二〇一五年に二千七百万円で購入した。竹の節を濃墨で際立たせる表現があり、墨の色や筆の勢いから五十代後半に制作したとみられる。県七尾美術館の北原洋子学芸員は「国宝の『松林図屏風』につながる作品として重要」と説明する。

【上】長谷川等伯の「紙本墨画松竹図屏風」【下】「紙本墨画猿猴図屏風」=いずれも県七尾美術館提供

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 猿猴図屏風は、二曲一隻で、縦一六二・四センチ、横二四一・二センチ。中国の禅僧画家・牧谿(もっけい)の作品に学びながら好んで描いた画題で、画面中央を斜めに横切る樹木の右と左に縮毛が特徴的なサルを配した。右のサルは母子とみられ、顔の横に小さな手がのぞく。

 北原学芸員は、骨太の構図や勢いのあるタッチを挙げて「狩野派とは違った等伯らしい表現がみられる。全盛期の五十代後半の作品と思われる」と話す。松竹図と同時期に二千百六十万円で購入した。

 観桜・観楓図六曲屏風は、縦一一七・七センチ、横二九六・八センチ。左隻に桜を楽しむ人々、右隻は満月と紅葉の下に輪踊りする群衆らを題材とする。県が一六年に購入した。その際は金沢を描いた屏風と考えられていたが、今回はそれには無理があると判断された。江戸時代前期に、江戸狩野派の流れをくむ画家の作品と考えられている。

 

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