トップ > 石川 > 11月15日の記事一覧 > 記事

ここから本文

石川

10年間の経験 幅広く詠む 短歌選者 小松の永井さん

歌集「風の渚」を出版した永井正子さん=石川県小松市西軽海町で

写真

 短歌の結社の一つ「国民文学」の選者などを務める永井正子さん(76)=石川県小松市西軽海町=が、十年ぶりに歌集「風の渚(なぎさ)」を自費出版した。十年間で経験した恩師の死や旅の記録、日常のささいな出来事まで幅広く詠み「自分の来し方の分身といえる作品」と語る。

歌集「風の渚」自費出版

 歌集では、結社の冊子などに発表した約千五百首から五百十六首を厳選してテーマごとに分類し、二〇〇七年から一六年まで年代順に収録した。これまで六冊の歌集を出版して広く販売してきたが、今回自費出版したのは千部。欲しい人にだけ販売するつもりだという。

 師事していた歌人の千代國一さんが一一年、九十五歳で他界。千代さんは宮中行事「歌会始の儀」の選者を務めるほどの有名歌人だった。「師を見舞ふ」「師の訃報」など三編で、恩師への思いを歌にした。

 「歌に詠むことで、悲しみの世界から抜け出すことができる」と永井さん。小松高校在学中の十七歳で国民文学に入会。子育てで十五年ほど活動を中断していたが、一九七九年に復帰して以来、千代さんの指導を受けてきた。

 タイトルは、海の歌をまとめた項目「風の渚」の名前からとった。よく海に歌を詠みに出掛けるといい、小松市の安宅海岸の情景を詠んだ「落日(らくじつ)を見に来て増えし前うしろフロントガラスの反(かえ)す金色(こんじき)」をはじめ九首をまとめている。他に県内を中心に日本各地や海外を旅した記録も残されている。

 短歌の世界では、平均年齢は七十歳前後で若者が少ない。永井さんが副会長を務める県歌人協会の人数も今は全盛期の半数以下の三百人ほどに。次の世代を育てることが、千代さんへの恩返しにもなると信じている。

 「短歌を詠むと、人の二倍生きていると感じるぐらい人生が豊かになる」と話し、若い人にこそ短歌の魅力を知ってほしいと願っている。 (竹内なぎ)

 国民文学 1914(大正3)年に歌人の窪田空穂(くぼた・うつぼ=1877〜1967年)が創刊した同名の冊子のもとにできた結社。総合誌として創刊し、15年から短歌誌として短歌の歴史を担ってきた。全国各地に6人の選者と約500人の会員がいる。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索