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盲導犬に幸せな余生を 引き取り手探し 課題も

岡田勝夫さん(右)を長年支えてきた盲導犬アビーと、引き取る木内豊久さん(中)=石川県小松市で

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 日本で国産初の盲導犬が誕生して今年で六十年。石川県小松市では十月、一頭の盲導犬がその役目を終え、引退した。県内では一線を退いた犬をボランティアが引き取ることが多い。人の「目」として活躍する盲導犬の引退の実情を探った。(横井武昭)

 先月十日、同市の視覚障害者、岡田勝夫さん(73)を長年支えてきた盲導犬アビーの引退式があった。「アビー、ありがとうね。元気でね」。岡田さんは涙ぐみながら、相棒の頭を何度もさすって別れを告げた。

 岡田さんは生まれつき視力が弱く、五十五歳で失明した。雄のラブラドルレトリバーで八歳のアビーは二〇一一年から岡田さんの外出の誘導をしてきた。二年前に和歌山県であった全国障害者スポーツ大会に出場し、視覚障害者の卓球で金メダルを取った際も同行。岡田さんは「おかげでこれまで事故もなく行動できた。僕の目となって仕事をしてくれた」と感謝する。

 国産の盲導犬が活動を始めたのは一九五七年。盲導犬育成を手掛けるアイメイト協会(東京都)の前身を創設した故塩屋賢一さんがシェパードを訓練し、第一号が誕生した。現在は全国で十一団体が育成をしており、厚生労働省によると、実働頭数は約九百五十頭。

誕生60年知られざる引退後

 十歳前後で引退することが多く、その後は一般家庭や各団体の訓練施設などに引き取られる。北海道盲導犬協会では「老犬ホーム」を備え、専門スタッフが健康を管理している。石川県ではNPO法人アイメイトクラブ石川が二〇〇〇年、「リタイア犬ボランティア登録制度」を開始。年間一〜二頭引退する盲導犬の引き取り手を探してきた。

 アビーを引き取ったのは同市の介護施設職員木内豊久さん(46)。犬を二頭飼っており、役に立ちたいとボランティアに登録した。アビーは木内さん宅で散歩で活発に走ったり、家族と一緒に寝たりしている。木内さんは「普通の家庭犬として末永く元気で過ごせるよう大切にしたい」と語る。

 しかし、同法人によると、県内ではこうしたボランティアがいつも十分いるとは限らない。登録しても、その後に家庭の事情が変わり、介護や転勤で引き取りが難しくなるケースがあるという。

 同法人の理事長で、自らも視覚障害者で盲導犬と暮らす井上凱暉(よしてる)さん(72)=金沢市=は「訓練された犬は賢く、ほえたり、かんだりしない。使命を果たした犬たちが幸せな余生を過ごせるように、ボランティアとして手を挙げてくださる方と出会えれば」と話す。

 (問)井上さん076(222)1822

 

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