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石川

笑顔集まる一つ屋根 津幡 高齢者サロン運営・池田さん

ボランティアの人たちに手伝ってもらいながら高齢者サロンを運営する池田外茂枝さん(右から2人目)=石川県津幡町南中条で

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 となり家と書いて「となりんち」と読む。地域の高齢者たちが気軽に集うことができるようにと石川県津幡町南中条に二〇一四年十一月に開設された高齢者サロンだ。「いつも(この場所のことを)隣って言っとったもんで」。現在、代表を務める元保育士池田外茂枝さん(68)が言う。(島崎勝弘)

自宅の「となり家(んち)」、夫の遺志継ぐ

 二階建ての一軒家。空き家だったのを隣に住む池田さん方が購入した。当初は夫の憲洋さんが友人を招いて酒宴を開いたり、息子たちが青年団の集まりなどで利用していた。そんな折、地域に高齢者が常時顔を出すことができる場所があればいいねえという話が持ち上がり、当時中条公民館の館長を務めていた憲洋さんがこの空き家を活用して高齢者サロンを開くことを決めた。

 となり家の名称の前には健康カフェの文字が躍る。憲洋さんが「精神的にも健康になってもらおう」と名付けた。夫妻ともども町内で開催されていたコーヒーの入れ方教室に通い、コーヒーでもてなす極意を学んだ。オープン以来、コーヒーは金沢市内の専門店で購入し、学んだ入れ方に従い、おいしいコーヒーを有料で提供している。

 オープンから五カ月後の一昨年四月、憲洋さんが病魔に襲われた。胃がんだった。手術をし、自宅療養が続いた。池田さんは看病のかたわらサロンの運営に精を出した。「休むとそんなに悪いのかと思って逆に気落ちしてしまうから」と池田さん。憲洋さんは病床でも「お客さん、来とるか」とサロンを気に掛けていた。昨年三月二十四日、憲洋さんは亡くなった。七十一歳だった。

 一週間休んだ後、サロンの運営を再開した。池田さんは「ここでボランティアやお客さんと話すことで気が紛れた。私のように先にご主人を亡くされた方々が声を掛けてくれ、励ましてくれた」と当時を振り返る。つるし飾りや水引、タペストリーなど月ごとに室内の展示が入れ替わり、その展示を見るために人が訪れる。池田さん自らも毎週木曜に折り紙教室を開き、参加者とともに折り紙を楽しんでいる。

 庭には季節の花が咲き、畑で収穫した野菜の一部はお客さんにもプレゼントしている。学校の長期休みには小学一年の孫娘も手伝ってくれ、店内に笑顔が広がる。冬になれば、憲洋さんがこだわったまきストーブが店内を暖めてくれる。

 「いつまでできるか分からんけど、体が続く限りは運営していきたいと思っとる」。池田さんは亡き夫の遺志を引き継ぐ。 

 

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