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司法過疎地 夫婦で奔走 東京から能登移住の弁護士

法律面で能登の人々の暮らしを支える中上勇輔さん(右)と菊地環さん夫妻=石川県七尾市の「のと法律事務所」で

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 石川県の能登地方での暮らしに愛着を抱き、弁護士が少ない地で法律相談の拠点をつくろうと、いずれも弁護士の中上勇輔さん(46)、菊地環さん(43)夫妻が穴水町と七尾市にそれぞれ法律事務所を開き、今年で六年目を迎えた。過疎化や高齢化に伴う相談も増えつつあり、夫婦で地域の相談役として奔走する。(太田理英子)

「地元の人 安心できる存在に」

 福岡県出身の中上さんと、埼玉県出身の菊地さん。東京で結婚し、それぞれ別の弁護士事務所で勤務していたが、「より必要とされるところで働きたい」と思うようになった。日本弁護士連合会が弁護士過疎の解消のため二〇〇四年に開所した「輪島ひまわり基金法律事務所」(石川県輪島市)への派遣に夫婦で応募。〇六年十月に着任した。

 二人で受けた法律相談は年間約二百五十件。特に債務整理が多く、その大半が金融機関への過払いに悩むお年寄りだった。「これだけ法的支援の需要がたまり続けていたのか」。土日も書面作成などに追われたが、二人とも東京での勤務とは違う充実感を覚えた。

 任期中に、長男と次男が誕生。親類や知人もいなかったが、温かい近所付き合いの中で居心地は良く、子育てしやすい環境が気に入って任期を二度延長した。計五年の任期満了が近づき関東に戻るつもりでいたが、一一年三月、東日本大震災が発生。首都圏での混乱を伝え聞き、「常に子どもが近くにいて安心して暮らせる場所にいたい」と、能登での定住を決めた。

 七尾市に引っ越し、菊地さんは同市内で一二年一月、中上さんは穴水町で同年十一月、それぞれ法律事務所を開設した。離婚や相続のほか、最近では高齢化に伴い、成年後見制度やお年寄りの交通事故を巡る公判の依頼も目立っている。

 能登地方では依然、弁護士が不足しているのが実情。中上さんの場合、北端の珠洲市や能登町に住むお年寄りから依頼があれば、自ら車で出向くことも少なくない。七尾市内では唯一の女性弁護士だという菊地さんの元には、「法律事務所は敷居が高く感じるが、女性だから安心」という相談者も。中上さんは「問題の大小を問わず、頼れる弁護士が近くにいると安心できる人は多い」と実感する。

 一三年十月には三男も誕生し、家庭はよりにぎやかになった。子育てとの両立が課題だが、「今後も地元の人が気軽に立ち寄れる場所にしたい」と菊地さん。中上さんは「高齢化し人口流出する地域だからこそ、目を向ける必要がある。多くのお年寄りが生きる上での法律的な障害をなくしていけたら」と意気込む。

 

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