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障害者と企業 懸け橋5年 金沢のNPO法人「リエゾン」

働きたい障害者と、企業の間をつなぐリエゾンの中山肇さん(右)=金沢市広岡で

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きめ細やか訓練 就職支援

 障害のあるなしにかかわらず、同じように働ける社会を−。そんな思いで設立されたNPO法人の就労移行支援事業所「リエゾン」(金沢市)が今月、開設から丸五年を迎えた。企業側も、働く側も双方がうれしい関係を目指してきめ細かな対応に徹し、これまで三十七人の就職を支援した。

 JR金沢駅金沢港口に面したビルの一階。通りからは実習者の様子が窓越しによく見える。「『どうして(実習者を)さらすのか』と言われたことも。でも悪いことをしているわけじゃない。社会に出たら、いろんな環境が待っているでしょ」。所長の中山肇さん(60)の言葉は明快だ。

 リエゾンでは現在二十人が就職を目標に訓練に励む。知的、身体、精神のどの障害でも対応するが、今は発達障害のある人が九割。室内では、パソコン入力やバッジの塗装、ビールケースの運搬などの訓練にそれぞれ黙々と向き合う。

 すべての訓練でタイムを計り、データ化して能力を客観的に評価する。複数の目で得意、不得意を見極めるため、スタッフはローテーションでさまざまな訓練を担当する。不得意なことは解決法も含めて企業に提案する。採用されれば、同僚となる現場のパートやアルバイトにも説明する。

 「無口な人については『シャイなんです』と。実習者への価値観を落とさない言葉で紹介することで、ぐっと働きやすくなる」と中山さんは力を込める。

 中山さんは特別支援学校や病院、造園会社など複数の職場を経験。四十歳を過ぎて福祉施設で働いていた時、能力のある障害者に触れ「得意な仕事をする機会さえあれば、もっと社会参加できる」と思いを強くした。二〇一二年五月、事業をスタートさせた。

 一生を見据えた支援を大切にするため、裁縫や車のタイヤ交換、災害時の対応を学ぶ講習もある。女性実習者(21)は「仕事を安定させて、できるだけ親の手を借りずに暮らせるようになりたい」と思い描く。

 障害者の雇用を戦力と受け止める企業もある。実習受け入れや雇用の実績がある生花販売業田保広司さん(52)は「スピードは若干遅いけど、集中力が抜群で作業も正確」と評価。「最初は接し方に戸惑ったが、今はハンディがその人の一部にすぎないと分かる」

 「企業がまた雇いたくなる、そんなサイクルを生み出したい」と中山さん。共生社会に向けて、働きたい障害者と、企業の間に一本また一本と橋をかける。 (小室亜希子)

 

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