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囲碁・将棋

火花散る再対決 第43期天元戦 11日 愛知・豊田で開幕

 井山裕太天元(28)=棋聖、本因坊、王座、碁聖、十段=に一力遼七段(20)が挑戦する第43期天元戦5番勝負(中日新聞社主催)が11日に開幕する。2期連続の顔合わせで、前期は3勝1敗で井山が制した。6冠の井山は名人に挑戦中。再び7冠同時制覇を目指しつつ、この防衛戦を迎える。対する一力も絶好調。今年は王座戦で挑戦者になり、棋聖戦でも挑戦者決定戦まで勝ち進んでいる。両者に対局の抱負を聞くとともに、第39期挑戦者の秋山次郎九段(39)と、両対局者と交流が深い蘇耀国九段(38)に、勝負の行方を占ってもらった。

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「七冠へ、自分の碁」井山裕太天元

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 昨年、7冠同時制覇を達成して肩の荷が下りた部分があり、より自分の打ちたい手が打てているように感じます。また、今年は国際戦にいつもより多く参戦できるようになり、充実した日々が過ごせています。

 一力さんは例年以上に成績がよく、若手の中では一番強い棋士だと思います。天元戦は2期連続挑戦ということで、5番勝負の雰囲気も分かっており、さらに力を発揮してくるのでは。前期は全面戦争のような激しい碁になりましたが、今期もそのような展開になるでしょう。自分の碁をしっかり打ちたいですね。

 いやま・ゆうた 1989年、大阪府東大阪市生まれ。石井邦生九段に入門し、2002年プロ入り。09年、第34期名人戦で史上最年少(20歳4カ月)の名人になったのをはじめ、7大タイトルを次々に獲得。昨年4月に囲碁界初の7冠同時制覇を達成した。天元戦では第37期から3連覇。第41期に復位して2連覇中。バランスが良く、柔軟に打ち回す。

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「大変な勝負 覚悟」一力遼七段

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 昨年、初の挑戦手合を経験し、またこの舞台に帰ってきたいという気持ちになりました。今期本戦は苦しい碁もあって厳しい道のりでしたが、連続挑戦できてうれしいです。

 今年5月、井山さんと一緒に国際戦に出場しましたが、国際戦への強い意欲を感じましたし、実際に厳しい手を打たれています。この秋は王座戦も含め、たくさん対戦できるのが楽しみ。前期は井山さんとの差を感じたシリーズでしたが、まだ近づいているようには感じていません。大変な5番勝負になるでしょうが、一生懸命打ちたいです。

 いちりき・りょう 1997年、仙台市生まれ。宋光復九段に入門し、2010年にプロ入り。13年、若鯉戦で優勝。14年、史上最年少の16歳9カ月で棋聖戦リーグ入りを果たし、同時に七段昇段。同年、グロービス杯世界囲碁U−20戦と新人王戦で優勝した。昨年は竜星戦で優勝後、天元戦で七大タイトルに初挑戦した。オーソドックスな打ち方をする本格派。

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<対談>秋山次郎九段と蘇耀国九段

技術力は井山、勢いある一力

天元戦の展望を語る秋山次郎九段(右)と蘇耀国九段=東京都千代田区で

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 −本戦を振り返って。

 秋山 一力七段の他に許家元七段が準決勝、本木克弥八段と大西竜平三段が準々決勝と、若手が勝ち残った。

 蘇 若手の活躍でわれわれの世代が大変になった。その中で山下敬吾九段だけは若手に強く、今年の碁聖戦で挑戦者になった。

 秋山 挑戦者決定戦は山下九段が押していたと思ったが、終盤で頑張りすぎて、逆転を許した。

 蘇 山下九段は勝ち碁を落とすタイプではないので、それだけ一力七段のプレッシャーがすごいのでしょうね。

 −一力七段の調子は?

 秋山 今年はすごく勝っている。負けたのは国際戦が多いが、そこで勝っていてもおかしくない実力をつけてきた。

 蘇 以前は早碁に強いイメージでしたが、5時間の棋聖戦Sリーグや3時間の天元戦と王座戦など、各棋戦で勝っています。

 秋山 以前は実利を意識した打ち方をしていたが、最近は四線、五線に打って、戦いを重視しているのかなと感じます。

 蘇 今夏に対戦したとき、これまで感じなかったオーラ、雰囲気があった。もともとあった自信が確信に変わったように感じた。

 −対する井山天元は?

 秋山 何事もなかったように勝って、再び7冠同時制覇を目指している。すごいとしか言いようがない。

 蘇 時間をかけて、われわれ世代に勝ち続け、トップまで上がってきた。近年いい勝負をしているのは、高尾紳路名人だけですね。

 秋山 常に新しい工夫の手が出てくるので、よく研究していると思う。まだまだ強くなっていくように感じる。

 蘇 とにかく勉強量がすごい。日本棋院のサイト「幽玄の間」でインターネット中継されている棋譜はすべてチェックしているし、時間が合えば研究会にも参加している。

 −見どころは?

 秋山 前期全4局は、序盤から激しい展開になって作り碁にならなかった。今期も同じような展開になるかと思う。

 蘇 昨年のタイトル戦の中でも、一番やり合っていた。スタートから互いに石を取っちゃうぞという感じで。そこですごいと思ったのは、井山天元が一力七段を力でねじ伏せたところです。

 秋山 両者は似ている部分がある。どちらもガンガンやっていくタイプなので力勝負になる。読みがしっかりしていてヨセも強いので、難解な終盤戦を見てみたい。

 蘇 一力七段は自分のペースで戦いたい。井山天元のいいところが出てしまうと無敵だから。

 秋山 技術的にはまだ井山天元の方が上だと思うけど、どちらが勝つかは分からない。3局で終わることはないでしょう。

 蘇 僕も技術的には井山天元だと思うけど、天元戦は若手がよく勝っている棋戦。一力七段はわれわれ世代と違い、井山天元への苦手意識はないでしょう。臆せず、思い切って戦える。

 秋山 一力七段が勝つにしても、フルセットになるかと思う。そろそろ若手が井山天元からタイトルを取ると面白いかなと。

 蘇 一力七段には勢いがある。ただ、王座戦とのどちらかで結果を出さないと次のチャンスが約束されないぐらい、一力七段の下の世代が迫ってきている。一力七段にとっても勝負の秋になりそうです。

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真価問われる挑戦者 佐野真

 現在の囲碁界の命題は一つしかない。誰が井山裕太6冠の牙城を崩すのか−。この一言に尽きる。

 日本国内に敵なしと評しても過言ではない圧倒的な強さで、頂点に君臨する井山。昨年秋の名人戦において挑戦者の高尾紳路九段に敗れ、全冠制覇である7冠から転落。しかしその後、残された6冠をすべて防衛し、今年は名人戦で挑戦権を得て、リターンマッチの7番勝負を戦っている真っ最中。誰もが困難と思った7冠への返り咲きが、かなりの現実味を帯びている。

 この名人戦の結果はともかくとして(現在は井山の3勝1敗)、井山が現日本碁界における傑出した第一人者であることは、何人たりとも否定することができない。ゆえにファンの興味が「ポスト井山たりうる存在が現れるのか否か」に集まるのは、当然の流れだと言えよう。

 その筆頭候補と目されていたのが、昨年の天元戦でタイトル初挑戦を果たした、一力遼七段であったが、ここにきてその勢いが加速。8月25日に王座戦で挑戦権を得ると、返す刀で6日後の天元戦で2期連続挑戦も決めたのである。

 実はこの一力は井山同様、日本国内ではほぼ無敵と言っていい。今年の負け数はここまで10敗(勝ちは38)。そのうちの5敗は世界の強豪相手の国際戦なのである。

 ただし、この数字には理由がある。7つあるタイトルのうち6つを井山が保持しているので「井山と対戦するにはタイトル戦の挑戦者になるしかない」という図式が、今の日本碁界に出来上がっているのだ。つまり一力は今年、井山とほとんど対戦しておらず(一度だけNHK杯の決勝で対戦したが負け)、井山以外の棋士にはまず負けていないという、明確な結果が出ているのである。

 従って、一力にとっては10月から始まる天元戦と王座戦の、井山とのダブルタイトル戦が、真価を問われる「棋士としての最大の大勝負」ということになる。焦点はこれまた一つ。一力が井山の域に、追いついているのか否か。

 この2つの5番勝負が今後の囲碁界の成り行きを決める。歴史の大きな節目がまさに今、訪れているのである。(さの・まこと=観戦記者)

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[対局日程]

第1局 10月11日(水) 愛知県豊田市「ホテルフォレスタ」

第2局 10月27日(金) 札幌市「ホテルエミシア札幌」

第3局 11月24日(金) 福岡県宗像市「宗像ユリックス」

第4局 12月11日(月) 兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」

第5局 12月20日(水) 徳島市「徳島グランヴィリオホテル」

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