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検証・豚コレラの初期対応(下) 不十分な検査体制

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 岐阜市内の養豚場の豚が感染した家畜伝染病「豚(とん)コレラ」。県の検証報告によると、八月二十四日の立ち入り後、場内で相次ぐ豚の衰弱を「熱射病」と誤判し、感染症の確認を怠った県中央家畜保健衛生所(家保)に新たな情報が入ったのは、九月三日のことだ。

 同日、養豚場で死んだ豚の病性鑑定を市の獣医師が依頼。家保は初めて豚コレラの疑いを念頭に、蛍光抗体法による検査を実施した。結果は陰性だった。

 ただ、解剖では内臓に豚コレラ感染の特徴的な所見が確認されたことから家保は四日、遺伝子検査を実施する。五日に出た結果は、またしても陰性だった。

 だが、使った検査試薬が開封済みだったため、念のため新品の試薬で遺伝子検査することに。六日は県畜産課主催の高病原性鳥インフルエンザの研修にほぼ全獣医師が駆り出されていた。改めて実施したのは七日になってから。想定外の陽性判定が出た時、時計の針は午後四時を回っていた。

 検証チームの聞き取りによると、家保の担当者は陽性判定が出てもなお、半信半疑だった。海外からウイルスが持ち込まれる場合、海に面した県からまず発見されると考えていた。「内陸県の岐阜では(最初には)発生しない」との思い込みに、とらわれていた。

 感染が確定すれば、殺処分をはじめ県を挙げた大規模な防疫対策が必要となる。家保内で三時間、検査内容を精査した末、一連の問題で初めて県畜産課に報告した。養豚場で異変を確認した立ち入りから既に二週間が経過。感染は場内で拡大していたとみられる。

 農林水産省の指示で、ようやく養豚場へ立ち入り検査をした家保の獣医師は八日未明、死んでいた大量の豚を目の当たりにした。

 検証チームは、死んだ豚が持ち込まれた九月三日の時点で、家保が国の豚コレラ防疫指針で定められた立ち入りや各種の検査を速やかに実施しなかった点を問題視。その後の検査についても、陽性が確定するまでのもたつきに言及した。

 最初の蛍光抗体法による検査で陰性判定だったことは「検査材料などが適切ではなかった可能性がある」。さらに二回の遺伝子検査で異なる結論が出た点について「検査プロセスが適切ではなかった」と、技術面の不備を重ねて指摘した。ウイルスや遺伝子など、それぞれの検査で担当者が一人ずつしかいなかったことも遅れにつながった。

 検証チームは獣医師の増員や、検査室の管理ルールの策定など検査体制を強化するよう提言。豚コレラに関する重要情報をつかんだ時点で、情報の一元的な把握と提供を行う集約センターも設けるよう求めた。

 家畜伝染病で重要とされる初動が遅れ、噴き出したさまざまな問題。豚コレラは養豚場周辺の野生イノシシで今も感染拡大に歯止めがかからない。県は見えない脅威を相手に、なお手探りの対応に追われている。

 (この連載は稲田雅文が担当しました)

 

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