トップ > 岐阜 > 11月7日の記事一覧 > 記事

ここから本文

岐阜

検証・豚コレラの初期対応(上) 危機意識の欠如

写真

 岐阜市内の養豚場の豚が家畜伝染病「豚(とん)コレラ」に感染し、県の初期対応が遅れた問題で、県の検証チームが五日に公表した報告書。浮かび上がったのは、関係者の危機管理意識の欠如と体制の不十分さから、対応が後手に回っていた状況だ。五十二ページの報告書を、二回に分けてひもとく。

 養豚場で豚に元気がなくなり、場主が岐阜市の獣医師に相談したのは八月九日。同二十日に数頭がエサを全く食べず衰弱していたのを確認した市獣医師は、記録的な暑さも念頭に「熱射病」と診断し、抗生物質を注射した。だが、状況は改善せず、市獣医師の依頼を受け県中央家畜保健衛生所(家保)が立ち入ったのは、同二十四日のことだ。

 家保の獣医師は、臨床検査で豚がぐったりし高体温になっているのを確認。前週に夜間の送風ダクトが止まっていたことなどから市獣医師の診断通り熱射病と判断し、対策を助言した。

 ただ、家保は同日実施した血液検査の結果から、二十七日には「何らかの感染が起きている可能性がある」と認識することになる。県畜産研究所から「感染症の有無を確認したらどうか」との助言も受けていた。

 にもかかわらず、二十八日に岐阜市側に報告しただけで、感染症かどうか確認を怠った。九月三日、市獣医師が死んだ別の豚の病性鑑定を県に依頼。豚コレラの陽性反応が出て家保が次に現場へ立ち入り、八十頭もの豚が死ぬ深刻な事態を知ったのは八日未明になってから。この間、兆候は見逃され続け、場内で感染が拡大していたとみられる。

 国の豚コレラ防疫指針は発熱や食欲減退、こうした症状を伴って死んだ場合は豚の出荷自粛などの指導をした上で、血液検査や遺伝子検査などをするよう求めている。検証チームは「八月二十四日の立ち入り時から、早期に豚コレラを含む感染症の検査を実施すべきだった」と指摘する。

 なぜ、基本動作ができなかったのか。実は八月三日には、農林水産省が中国で感染が拡大するアフリカ豚コレラに関する注意喚起をしていた。種類は異なるが、感染症に神経をとがらせるべき時期にもかかわらず、関係者が豚コレラ感染を疑わなかった状況を検証チームは問題視している。

 「『まさか本県で、(国内で)二十六年ぶりに豚コレラが発生することはないだろう』との思い込みがあった。危機管理意識が欠如していた」と非難した。

 検証チームは、意識を高めるために、県内の農場主や獣医師に対する徹底した研修を提言。国の防疫指針が五年前に全面改正されていたのに、県の防疫要領は手つかずだったとして、年度内の全面改正を求めた。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索