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岐阜

豚コレラで殺処分、緊迫の県内

「豚コレラ」の感染が確認され、住民らが見つめる中、豚の殺処分が行われる養豚場=岐阜市で

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 国内で二十六年ぶり、県内でも三十六年ぶりとなる伝染病の脅威に、岐阜が揺れた。九日朝に岐阜市の養豚場で家畜伝染病「豚(とん)コレラ」ウイルスの感染が確認され、県は二十四時間後の十日朝までに残りの豚の殺処分を実施。現場から半径三キロ圏内で豚の移動制限、十キロ圏内で搬出制限を行い、周辺道路に消毒ポイントを置く厳戒態勢が敷かれ、地域住民や同業者には戸惑いが広がった。

■響く重機音

 JR岐阜駅から北東に約八キロ、田畑と民家が混在する地域にある現場の養豚場では、九日午前七時半ごろから白い防護服姿の県職員らが作業を進めた。

 薬や二酸化炭素、電気ショックを用いて場内に残る六百頭余りの殺処分を進めるのと並行し、豚舎の脇では死んだ豚を埋める最深四メートルの穴もショベルカーで掘り進めた。死骸に消石灰をまきながらブルーシートでくるみ、土との接触を防ぎながら埋めるという。

 薬剤の飛散を防ぐために豚舎はブルーシートで覆われ、周囲から中をうかがうことはできない。九日、現場近くで畑仕事をしていた女性は「この辺はアライグマやタヌキなど、野生動物が多い。豚(だけ)の病気と言っても、どう感染したのか分からないなら信じられない」と、外部への影響を案じた。

 県は九日午前、近くの公民館で住民説明会を開き、約四十人が参加。出席した男性(64)は「井戸水には影響がなく、豚舎を消毒する消石灰などが野菜にかかっても人体に影響はないなどと説明があった」と話した。

 十日朝、殺処分はすべて終了。九日に時折「キーッ」と豚の鳴き声が聞こえていた現場は、一夜明けると死骸を埋める重機の音が響くだけとなった。

■複雑な同業

 豚の搬出制限がかかる十キロ圏内には、豚を飼育する農場が三カ所ある。その一つで、約四十頭を飼う岐阜市畜産センター公園は、十四日に予定していた数頭の出荷を中止した。一般客の豚舎周辺への立ち入りも禁止に。赤塚富男所長は「消毒回数を増やすなどして万全を期したい」と話した。

 各務原市の一カ所も搬出制限がかかった。経営者の男性は「損失は一千万円近くになるかも」としながら「圏内には三十軒ぐらいしか養豚業者がなく、どこも一生懸命頑張っている。病気にも敏感で、対策を怠っていたとは思えない」と複雑な心境を漏らした。

消毒ポイントで一般車両を消毒する市の職員=岐阜市椿洞の市畜産センター公園で=岐阜市で

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 現場の養豚場を含む岐阜市内外の六カ所には、車両の消毒ポイントが設けられ、畜産関係だけでなく一般の車両にもタイヤの周りなどに消毒液を散布した。

■県庁の対応

 県庁では、豚の遺伝子検査で陽性が出た八日から県幹部が集まるなど緊迫感が高まり、翌九日午前六時に農水省の検査で陽性判定が出ると間もなく、古田肇知事を本部長とする対策本部が立ち上がった。

 県内では昨年一月、山県市の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザによる鶏の大量死があり、約八万羽を殺処分した。古田知事は「まだあの記憶が生々しい。反省や課題を十分整理しているので、経験を踏まえた対応を」と号令をかけた。

 九日午後、農林水産省の野中厚政務官が県庁へ。古田知事に対し、国から資材や人材を提供する意向を示したほか、原因究明に向けて研究者、関係機関から計七人の調査チームを派遣したと報告し「緊密に連携を取って初動に当たっていくことを確認した。県には速やかに対応してもらっていると認識している」と話した。

 十日朝には、殺処分終了を受けた二度目の本部員会議が開かれ、古田知事は「二十四時間以内という目標はクリアできた。引き続き拡大防止策を徹底するが、健康に配慮しながら対応してほしい」と職員らの疲労を気遣った。

 

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