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岐阜

定着するまで見守って 県内での障害者の就職

企業担当者(右奥)の説明を聞く参加者=関市内で

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 労働力不足の打開策の一つとして、障害者雇用に注目が集まっている。国は、この春から企業に課す障害者の雇用率を2%から2・2%に引き上げ、新たに精神障害者も対象に加えた。ただ、就職先の環境が合わず、定着できない場合も。障害者の社会参加を進めるためにも、個々の特性に合わせたマッチングが求められる。

 七月中旬、県内の五圏域で県が一回ずつ開く、障害者と企業の就労相談会が関市内であった。知的や身体に障害のある人が、福祉事業所の職員と、製造業など七社のブースを回った。

 「送迎はありますか」「作業は何人でやりますか」と、矢継ぎ早に質問する参加者。自分の障害の程度と仕事の適性を念入りに推し量っているように見えた。知的障害のある五島慎さん(23)=関市=は、サービス業を志望。「製造業で働いたが、なかなか続かない。細かい作業が得意なので別の形で生かしたい」と力を込めた。

 出展した貴金属リサイクル業の松田産業関工場(関市)は、二年前から障害者を雇い、現在は七人がパソコンなどの解体作業をしている。駅から送迎バスを用意するなど、通勤に配慮。小泉英司工場長(40)は「感性が豊かで、私たちの目が届かないところにも気付いてくれる」と期待する。

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 岐阜労働局によると、昨年六月現在、県内企業で働く障害者は過去最多の五千七百三十三人。実雇用率は2・02%で、全国平均の1・97%を上回る。特に精神障害者は伸びが大きいものの、短期間で転職を繰り返す人も少なくない。

 県は本年度中に、各圏域の障害者就業・生活支援センターに、精神保健福祉士を一人ずつ配置する方針。二〇年春には、職業訓練と就労、定着支援を一括で担う「県障がい者総合就労支援センター(仮称)」の開所も予定する。

 「福祉支援と就労支援では、ノウハウが異なる。形だけでなく、明確な目標を立て、成果を示さないと意味がない」。そう指摘するのは、障害者の就労訓練をする「ノックス岐阜」(岐阜市)の後藤千絵代表(39)。同社では、採用前に企業で実習してもらうほか、就職後も職員が職場訪問や電話相談で、定着を支える。

 県労働雇用課の担当者は、「精神障害者の支援は始まったばかりで手探りの部分がある。定着状況を評価できる仕組みも必要」と話す。就労後の歩みまで見守る姿勢があってこそ、実効性のある支援につながっていく。

◆声掛け合える環境を 発達障害の青山さん

 発達障害のある青山高幸さん(26)=岐阜市=は、企業への就職を目指し、六月からノックス岐阜に通う。障害者が飛び込みやすい職場づくりについて聞いた。

 −苦手な作業は。

 人の顔が認識しづらく、耳も聞こえにくい。頭でイメージしたことと手先の動きがずれるので、人のまねができない。大学の時、発達障害と診断されたが、生物学にのめり込み、大学院修士課程まで修了した。

 −なぜ一般企業を目指すのか。

 卒業後は約九カ月、(重度の障害者が雇用契約を結ばずに工賃を得て働く)B型事業所で働いた。安定した収入を得て、好きな生き物を趣味で楽しむ生活の基盤をつくりたくて、ここに来た。たくさんの業種や職種を知り、自分に合う仕事を探している。

 −障害者が働きやすい職場とは。

 得手、不得手は誰にでもある。雇用する側には、私たちをただ障害者として見るのでなく、常に声を掛け合える環境にしてほしい。雇用される障害者も、自分の特性を理解し、伝えなければならない。そのために、支援する人は、私たちが何に向いていて、今どんな力が足りないのかを一緒に探り、示してほしい。

 (兼村優希)

 

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