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関市、氾濫後に避難指示 危険水位設定なく

 豪雨で百棟以上の床上浸水があった関市の上之保地区で、市から避難指示があったのは、津保川の氾濫から少なくとも三十分以上後だった。現場近くにある市と県の水位計で、判断材料となる「避難判断水位」「氾濫危険水位」が設定されていなかったため、指示が遅れたとみられる。住民の避難の遅れや家財の被害拡大に影響しており、今後の対策が迫られる。

 関市によると、災害対策本部には八日午前二時十分ごろ、市上之保事務所から「津保川の水位が上がっている」と連絡があった。同地区の九百五十三世帯、千六百十七人に避難指示を出したのは同二時三十七分だった。

 ただ、上之保川合の宇佐見勲さん(67)は「午前一時すぎに玄関を開けると、もう家の前の道路が水で覆われていた」と振り返る。妻と息子を家の裏にある石垣を越えて避難させると、上之保事務所に電話し「避難指示もないなんて、どうなっとるんや」と訴えた。自身も石垣を登った後、ようやく避難指示とみられるサイレンを聞いたという。

 同地区では家屋一棟が全壊、二棟が半壊。約百三十棟が床下浸水した。地区には避難勧告も出ておらず、家の車三台と、電化製品の大半が使用不能になった宇佐見さんは「もっと早く知らせてくれたら、助かった家財もいっぱいあった」と顔をしかめた。

 現場近くの県の水位計は、同日午前零時から一時まで数センチの変化だったが、二時までに一メートル近く急上昇して四・二七メートルになっていた。市災害対策本部は数値を確認していたというが、担当者は「避難指示を出す基準がなく、監視するにとどまった」と説明。判断の遅れを認め「改善策を検討したい」と話した。

 県河川課によると、県が設置する百二十カ所の水位計のうち、氾濫危険水位などを設定しているのは二十六カ所で、全体の二割にとどまる。残りの水位計は現時点で、危険水位などを決めるためのデータが十分蓄積されていないという。

 担当者は「単純に何メートルなら危ないかではなく、水位上昇の速さや、周辺の住民が避難に要する時間なども考慮する。設置から何年でデータが集まる、というものではない」と説明する。危険水位などが新たに設定されたのは、二〇一五年度の三カ所が最後。過去二年間はゼロだ。

 それぞれの水位計の数値は常時、ホームページ(HP)で見ることができる。県は本年度、洪水時だけ水位を観測する「危機管理型水位計」も百台導入する。河川課の担当者は「基準水位をすぐ決めるのは難しく、各市町村には数値の変化を見て判断してもらうしかない。住民の方々にも確認していただき、早めの避難を検討してもらいたい」と求めた。

 (鈴木智行、水越直哉)

 

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