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岐阜

ホース食い破るハチ出現 営巣ピークすぐ、幼虫対処を

多治見市内で確認されたタイワンタケクマバチ

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 屋外の水道ホースを食い荒らす奇妙なハチが多治見市内の民家に出現し、三日付の本紙東濃版で「外来種のタイワンタケクマバチが東濃に出現」と報じたところ、読者から「既に昨年からいる」「父が刺された」といった報告が多数寄せられた。「岐阜公園では普通に飛んでいる」との声も。今後、県内各地で被害を生む懸念もあることから、専門家に対処法を聞いた。

◆発端

 「ウチの庭のホースを食い破る変なハチがいる」。見慣れない黒いハチが多治見支局に持ち込まれたのは二日だった。持参した不動産業大山秀美智さん(82)=多治見市金岡町=は「四十五年来、暮らしてきて初めて見た」。

 名和昆虫博物館(岐阜市)の名和哲夫館長(63)の分析で、台湾や中国原産の外来種「タイワンタケクマバチ」と分かった。

食い荒らされた水道のホース=多治見市金岡町で(大山さん提供)

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 枯れた竹に強力なあごで穴を開け、内側に花粉団子を詰めて卵を産み付ける習性があり、ホース食い荒らしの謎も「緑色のホースを竹と間違えた」との説で決着したが、翌日から「対処法を知りたい」との電話が相次いだ。

◆毒

 「刺されて重篤になったとの報告はないが、他のハチと同様、アナフィラキシーショックに気を付ける必要はある」

 外来種に詳しい森林総合研究所(茨城県つくば市)の岡部貴美子・生物多様性研究拠点長(56)に問い合わせると、こう教えてくれた。一度刺されるだけなら鋭い痛み程度で済んでも、二度目だと血圧低下や意識障害など重い症状が急激に起きることがあり「アレルギー体質の人は要注意」。

◆習性

 岡部拠点長によると「攻撃的ではないが、巣への脅威を感じると反撃する」。

 竹林など人里離れた場所ではなく、庭先の竹ぼうきを枯れ竹と勘違いされて営巣され、うっかり握ると大変だ。竹の節を境にマンションのように数匹が営巣するため、一度に何カ所も刺されかねない。民家や文化財の竹柵も被害に遭いやすい。営巣のピークは五月下旬〜六月初旬で、これからが要注意だ。

◆侵入

 「中国からの輸入竹材に紛れて日本に入った可能性が高い」と岡部拠点長。生竹でなければ検疫の義務がなく、死んだ竹(竹材)に潜む卵は見逃されやすい。初確認は二〇〇六年、愛知県豊田市。安八町や津市でも次々と見つかった。

 昆虫が生息域を広げる速度は一般に年間数キロにとどまるものの、竹材に紛れて出荷されれば飛び地的に広がる。寿命は最長一年で、外気温が零度でも越冬する能力があり、県内全域に生息域を広げる懸念がある。

◆駆除

 寄生するダニが在来種のクマバチに悪影響を及ぼす懸念があり、愛知県は一一年にいちはやく条例で「対策が必要な外来種」に指定して駆除を推進しているものの、環境省による全国的な「特定外来生物」指定には至っていない。

 成虫に薬剤をかけるのも手だが、巣穴をふさいだり、竹材ごと焼いたりと、幼虫の段階で対処するのが効果的なようだ。ただ、近隣から新たな個体群が来る可能性が高く、根絶は難しい。岡部拠点長は「外来種ばかりの自然は、もはや自然ではない。地域での議論が進むことを期待している」と指摘している。

 (梅本秀基)

 <タイワンタケクマバチ> 体長2センチ前後で、胴体は黒、羽は褐色。直径2〜3センチの枯れ竹を好んで営巣する。在来種のクマバチは枯れ枝の中にトンネルを掘って巣を作るため、営巣面で影響はないとみられるが、花の蜜を食料とするのは他のハチと同じ。

 

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