トップ > 岐阜 > 11月10日の記事一覧 > 記事

ここから本文

岐阜

軽くて安い「下肢装具」開発 県や岐阜大など

アルミ製の骨組みがある従来の下肢装具(左)と、CFRTP製の新たな下肢装具(右)=県庁で

写真

 脳梗塞などで半身がまひしている患者らの足に装着し、歩行訓練をサポートする「下肢装具」。熱で軟らかくなる炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)を使って従来の半分以下に軽量化し、体形に合わせた製品を低コストで成形する技術を、県工業技術研究所と岐阜大、福祉機器製造会社「今仙技術研究所」(各務原市)、義肢装具製作会社「名光ブレース」(岐阜市)が開発した。

 CFRTPは、炭素繊維と樹脂を組み合わせた材料。アルミの半分ほどの重さで、同程度の強度がある。加熱すると変形でき、再利用も可能だ。

 従来、太ももまで固定する長下肢装具は、アルミ製の骨組みを、ふくらはぎなどにベルトで巻いて装着する形が一般的。重さは約一・五キロあり、オーダーメードで作るには平均二十二万円かかる。

 より患者への負担を減らそうと、研究チームは二〇一四年に、新素材による装具の開発に着手。骨組みの代わりに、専用の装置で変形させたCFRTPで足を覆うように固定。装具の重さを〇・六キロに抑えた。金額は、従来の半額以下の九万円を想定している。

 CFRTP製の装具は、患者の要望で個別に作られた例はあるが、障害の程度や体形に合わせた多種を、効率よく生産する技術は、確立されていなかった。今回は、新しい成形機器を導入し、産学官の連携で効率的な生産が可能になった。

 昨秋から、岐阜大付属病院や県内のリハビリ施設を利用する患者四十八人に装着してもらい、臨床試験も実施。「使いやすい」「(再利用できるので)ごみにならない」などと好評だった。

 担当の岐阜大大学院医学系研究科の青木隆明特任准教授は「早期の回復には、なるべく早い段階でリハビリを始めるのが効果的。重い装具だと、高齢の患者には使いづらいし、通常とは異なる筋肉の使い方を覚えてしまう場合もある」と話す。

 下肢装具は、各病院で働く義肢装具士が医師の処方に基づいて製作する。今後も、県内の施設で使用例を増やすほか、ほかの義肢装具士や医師らの相談にも応じる。県工業技術研究所の千原健司専門研究員は「軽くて安価な下肢装具を全国に広げたい」と意気込んでいる。

 (兼村優希)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索