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身近に潜む「崖」注意 自転車での水路転落

2016年に自転車の高齢男性が転落した現場。当時は安全柵がなかった=越前市で

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 県内では、自転車を運転中に水路に転落して死亡する事故が少なくない。昨年は三件あった。稲作が盛んな県内は用水路が多く、全ての水路沿いに転落防止柵を張り巡らせるといった対策を講じることは難しい。県交通安全協会などは自転車の安全運転の徹底を呼び掛けている。

 越前市武生中央公園近く、片側一車線の市道端に突如、深さ四メートルの「崖」が足元に現れる。市道の下を横切る「小松川」だ。二〇一六年九月下旬の夜、水深二〇センチほどだったこの川の底で男性が心肺停止状態で倒れているのが見つかった。

 男性は市内に住む七十代の無職男性と判明した。近くに自転車も落ちていたことから、警察は、男性が道路右側を走行中に橋を渡る手前で川に転落した可能性が高いとみて交通事故と判断した。近くに住む自営業男性(85)は「あんな所で事故が起きるなんて」と驚きを口にする。

 現在、現場には高さ一・一メートル、幅四メートルの白い安全柵がある。越前市都市整備課が地元住民の要請を受けるなどして事故翌月に設置した。同課の担当者は「柵の設置要請は毎年多くあるが、予算的に年間一、二件しか応じられない」と話す。この現場は道路も川も越前市が管理しているため迅速に対応できたが、県や国、民間など管理者が異なる場合は調整が複雑化するという。

 県警交通企画課によると、自転車運転中に水路に転落死した事故の統計は存在しない。ただ自転車による単独死亡事故は二〇一六年は六件、一七年は〇件、一八年は三件で、本紙の記事などによると、全てが用水路などでの転落死だった。

 そこで運転者自身の注意が重要になってくる。県交通安全協会の中川和幸さんは「まずは自転車の安全運転の原則を守ってほしい」と話し、車道走行や左側通行、夜間のライト点灯を呼び掛け、ながら運転と飲酒運転の禁止を訴える。ブレーキなどが正しく作動するか日々確認することも重要で、自転車安全整備士の点検を受けた証明となる「TSマーク」の取得が最善という。

 ただ、注意しても事故は起きてしまう可能性はある。同協会では、万一に備え、自転車で事故を起こした際に相手方だけでなく運転者自身のけがなども補償される「サイクル安心保険(全日本交通安全協会)」への加入を勧めている。

 中川さんは「自転車も車両の一つ。車の運転と同様に事故に備えてほしい」と話す。

◆<取材後記> 関心高め事故減を

 こんな事故があるのか−。前任地の愛知県では取材の経験がなく、最初に聞いた時は驚いた。確かに福井は用水路が多く、うっかり落ちてしまいそうな場所もある。

 県内では昨年、自動車が水路に転落して運転手が死亡する事故も起きた。交通事故だけではない。昨年の豪雪では、高齢女性が除雪作業中に水路に転落して亡くなった。

 身近に潜む危険。取材を進めても即効性のある解決策は見えてこなかった。関心が高まることで、少しでも痛ましい事故が減ってほしい。 

 (梶山佑)

 

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