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高齢出所者の受け入れを 福井刑務所が研修会

分科会で受刑者支援の事例を聞く参加者=福井市の福井刑務所で

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 受刑者の高齢化や再犯者率の上昇が社会問題となる中、高齢受刑者らが出所後に地域社会に溶け込めるよう支援する「地域生活定着支援センター」の重要性が高まっている。福井市の福井刑務所が今月開いた福祉関係者向けの研修会では、県地域生活定着支援センター(同市)の職員が、受刑者支援の個別事例を詳しく紹介。司法と福祉をつなぎ、生活を安定させることが再犯防止につながると訴えた。

 脳疾患や知的障害があり、頼れる親族もいない。センターの社会福祉士川端敬之さんが、この日紹介した元受刑者の八十代男性は、昨年、財布を盗んで窃盗罪で懲役刑を受けた。これまでも仕事を辞めては盗みを繰り返し、複数の受刑歴があった再犯者だった。同センターは出所の約半年前から男性との面接を重ね、自治体の福祉サービスの手続きや住居の手配などの支援を行った。

 男性には「児童の交通安全のボランティアがしたい」という夢があった。面接で希望を聞き出したセンターは、地域で活動している人に働き掛け、ボランティアができる環境を用意した。現在男性は「毎日忙しい」と文句を言いながらも表情は穏やかで、充実した生活を送っているという。

 「地域生活定着支援事業」は、二〇〇九年度に厚生労働省が始め、県内では一一年度から、県済生会病院(福井市)で社会福祉士ら四人で運営している。支援ではまず、センター職員が刑務所内で受刑者と面接。住居や就労先の手配、医療や福祉サービスの手続き、相談相手の確保などを行い、出所後すぐに、地域で安定した生活ができるようにすることを目指している。

 高齢や障害がある受刑者の増加は全国的な傾向で、福井刑務所でも被収容者二百六十二人のうち二十七人が六十五歳以上(十二月十日現在)。さらに身体や知的、精神の障害がある被収容者は四十九人(同)に上る。同刑務所も昨年五月から独自に支援プログラムを実施。配慮が必要な受刑者を対象に脳のトレーニングや買い物の練習、社会保障制度の講義を行っている。

 同刑務所は四年前から、県内市町の福祉担当者や福祉施設関係者を招いて研修会を開催。今回、受刑者支援の事例を紹介する分科会を研修会に盛り込んだのは、再犯を防止するための支援の必要性に理解を促し、地域での支援を広げる狙いがある。

 松岡伸郎(のぶお)センター長は、センターは入所中から介入できる唯一の福祉機関だとして、刑務所内と地域社会の橋渡しをする意義を語る。「出所後、安定した生活を送ることができれば再犯防止につながる。福祉というすべを使って、少しでも長く地域で安定した暮らしができるよう支援を続けたい」

 (坂本碧、梶山佑)

 

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