トップ > 一面 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

一面

全国の市町村の地方創生計画の7割が外注 交付金21億円が東京に還流

写真

 政府の地方創生政策の出発点として、全国の市町村が独自で作った地域再生の基本計画「地方版総合戦略」の七割超が、外部企業などへの委託で策定されていたことが分かった。委託先は東京の企業・団体が過半数を占め、受注額は少なくとも二十一億円超に上ることも判明。地方自治を研究する専門機関による初の全国調査で浮き彫りになった。

 地方創生政策は、人口や雇用の減少で疲弊する地域の自立と活性化が目的で、第二次安倍政権が看板政策として打ち出した。政府は地方の主体性を促し、民間に全面依存しないよう求めたが、東京一極集中の是正に向けて地方に配られた策定段階の交付金の多くが東京に還流した形だ。

 雇用創出や移住・定住促進などを盛り込んだ戦略策定は二〇一四年十二月にスタート。法的には努力義務だったが、政府は一六年三月までの策定を強く要請した。交付金申請の前提条件とされたため、事実上は策定がノルマとされ、わずか一年余りでほぼすべての自治体が作り終えた。

写真

 調査したのは公益財団法人「地方自治総合研究所」(東京)。一七年十一月、全国の自治体にアンケートしたところ、白紙などを除いた有効回答千三百四十二市町村のうち、千三十七市町村(77・3%)が、コンサルタントやシンクタンクなど外部に委託していた。その理由として多くの自治体が「専門知識を補う」「職員の事務量軽減」を挙げた。アンケートには八割近くの自治体が回答した。

 調査で判明した受注総額は約四十億円。委託先は東京の企業が上位十社のうち七社を占めた。愛知、大阪、福岡などが都道府県別の占有率で3%にも届かない中、東京の大手が一社だけで全体の12・5%となる五億円超を請け負う極端な偏りも浮かんだ。

 外部への委託費用は政府の予算枠が色濃く反映された。交付金は一市町村当たり一千万円で、全国の半数近くの市町村が七百万〜一千万円で委託していた。

 各地の自治体から委託された大手コンサルの責任者は本紙の取材に「瞬間風速的に大変な需要過多になった。手が足りなくなり、幾つも依頼を断った」と証言。別の責任者も「明らかな地方創生バブルだった。業界全体でも全ては受け止め切れない状態だった」と振り返った。

◆まさに一極集中

 首都大学東京の山下祐介教授(社会学)の話 地方創生で東京一極集中を止めると言っているのに、この調査結果こそまさに東京一極集中を表している。情報を一番持っている東京のコンサルに頼むという判断は自治体として当然かもしれないが、地元で考えるべき問題を投げてしまえば人口減少にしっかり向き合う機会を失う。積み上げるべき知見が積み上がらず悪循環だ。自前でやったところは問題点を自覚したはず。本来は政策形成競争だったはずが、補助金獲得競争や人口獲得競争になってしまったことをしっかり検証すべきだ。

 (前口憲幸、横井武昭)

 <地方創生政策> 地方消滅が危惧される中、自律的な地域社会を築くため、第2次安倍政権が始めた。政府は地域活性化の理念を示した「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、全国の自治体に地元の実情に沿った5カ年計画「地方版総合戦略」の策定を要請。戦略は2019年度が最終年となる。地方創生関係の交付金のうち、国が事業費の半分を補助する「地方創生推進交付金」は、16〜18年度に1347自治体が活用し、1392億円分の事業が採択されている。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索