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名古屋弁オペラ、やっとかめ 38年ぶり地元公演

オペラ公演を前に11月に行われたプレコンサートの様子=名古屋市中区のHITOMIホールで((C)Michitaka Sugie)

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故團伊玖磨さん

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 日本を代表する作曲家の故・團伊玖磨さんが手掛けた名古屋弁のオペラ「ちゃんちき」が今月、三十八年ぶりに名古屋で上演される。一九七五年に東京で初演後も国内外で演じられてきたが、ご当地では八〇年に一度、披露されただけだった。再び主催する名古屋二期会は地元のオペラ上演団体で、東海地方出身者が多い。細やかなイントネーションにこだわり、観客を楽しませる。

 「『きゃあってまうで(帰ってしまうよ)』は、もっと放り投げるように」。十一月中旬、名古屋市内のけいこ場では、公演を指揮する田中祐子さん(40)が合唱団を指導していた。

 名古屋市天白区出身で、海外で指揮した経験もある田中さん。「私が調べたところ、全編で名古屋弁が使われるオペラは、(團作品に限らず)この作品だけ」と言う。これに先立つ十一月上旬、名古屋二期会は、オペラの曲を披露する「プレコンサート」を市内で開いた。

 「ちゃんちき」は團さんの五作目のオペラ。山で暮らすキツネとカワウソがだまし合いをする物語で、父子の愛や自然の厳しさが描かれる。バリトンやソプラノの独唱でも、「耳かっぽじって、ようききゃあ」「とろくせーや」といった名古屋弁が出てくる。

 「ちゃんちき」は、名古屋を拠点とする日本舞踊西川流の舞踊劇が基になっている。團さんが六二年に作曲し、名古屋弁を多用した台本は、脚本家の故・水木洋子さんが作った。團さんが気に入り、オペラへ発展させた。

 八〇年十月三十日の名古屋初演は、團さん自らが名古屋フィルハーモニー交響楽団を指揮した。

 名古屋二期会事務局長の小泉孝さんによると、会はその後、「カルメン」や「椿姫」といった著名作品に気持ちが傾き、「ちゃんちき」は上演しなくなった。ところが近年、首都圏や大阪で別の団体が上演したこともあって、「地元の名古屋でも」との機運が高まったという。

 小泉さんは「これが名古屋弁というスタンダートを示したい」と意気込む。演出を担当する神戸出身の岩田達宗さん(55)は「名古屋弁には、生きるための生命力にあふれた感じがある」と語っている。

 上演は十二、十三両日、名古屋・金山の日本特殊陶業市民会館で。午後六時半開演。一万千円〜五千五百円。問い合わせは名古屋二期会=電052(380)5416=へ。

 (南拡大朗)

 <だん・いくま> 1924年生まれ、東京都出身。東京音楽学校(現東京芸術大)卒業。オペラ「夕鶴」、童謡「ぞうさん」などを作曲。オペラでは、「標準語に従って旋律を作るべきだ」と唱える師匠の山田耕筰に反発し、方言を使ったオペラの作曲に意欲を燃やした。日中文化交流協会の会長を務め、2001年に訪問先の中国で死去した。

 

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