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あなたと全米の決勝を戦うのが夢だった 大坂、セリーナへ

 強烈なサーブで優勝を決めると、セリーナの元へ歩み寄った。「あなたと全米の決勝を戦うことが夢だった。ありがとう」。二十歳の大坂は大一番にも動じず、背中を追い続けた偉大な選手を倒し、涙を拭った。

 大阪市で生まれ、三歳で米国に移住。大坂にとって、四大大会で二十三度の優勝を誇るセリーナは、子どものころから憧れの存在だった。会場も三十六歳の現役最強女王の優勝を望む観客であふれた。だがコートに入れば「別人になった気持ちになる。ファンじゃない」と大坂。幼少期を過ごしたニューヨークのコートでライバルとして戦った。

 第2セット、セリーナが再三の警告を受けた。それに抗議するブーイングが鳴りやまない異様な雰囲気で、世代交代を予感させる大坂の全米制覇は決まった。

 怒号が続く表彰式。セリーナは観客に「もうブーイングはやめて」と呼び掛け、大坂の肩を抱いた。大坂は優勝インタビューで涙ながらに語った。「みんながセリーナを応援しているのは分かっていた。こんな終わり方になってごめんなさい」。後味の悪さを優しく純粋な物言いで包み込んだ。

 体格や筋力に恵まれながら「精神面が課題」と言われ続けた。この日は一転、集中力を保ってセリーナをしのぐ一打を重ね、最後は品格すら漂わせた。

 東京五輪も見据え、ファンの期待も膨らむが「先のことは考えない。一つの試合を楽しみたい。プロ選手はそれを見失いがちだから」。実直なニューヒロインは、自らのペースで階段を上っていく。

 (石川智規)

 

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