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犠牲の祖母、ようやく 土砂の下、父母に続き

 安否不明者が残る厚真町の土砂崩れ現場では八日、「発生後七十二時間」が迫る中、自衛隊や消防、警察の捜索活動が続いた。

 山が崩れ、家屋が土砂で埋まった富里地区。地区で最後の不明者佐藤正芳さん(66)を捜索するため、現場には数台の投光器が投入された。暗闇の中、投光器や数十人の捜索隊員のヘッドライトの光を頼りに、重機やシャベルなどで土砂を掘り起こしていった。

 「搬送、開始」。午後六時五十分ごろ、隊員の掛け声が現場に響いた。ブルーシートが広げられ、ストレッチャーが用意された。間もなく二十人ほどの隊員が白い布にくるまれた不明者を抱きかかえ、救急車に搬送。サイレンを鳴らしながら走りだす救急車を、全員が敬礼して見送った。

 午後九時時点で二人が安否不明の同町吉野地区でも捜索活動が続いた。気温一七度と肌寒い中、隊員らは土砂を掘った深さ五メートルほどの穴に入り、さらにシャベルで安否不明者を捜した。

 同町中心部の安置所には安否不明者が次々と運び込まれ、親族とみられる人たちと対面した。八日午後一時に連絡を受け、夕方に駆け付けた同町在住の公務員中村真吾さん(42)は「ばあちゃん…。最後の一人が見つかりました」と震える声で報道陣に語った。

 富里地区の実家が地震による土砂崩れの被害に遭い、父の初雄さん(67)、母の百合子さん(65)、祖母の君子さん(94)の三人が行方不明になった。実家があったはずの場所は大量の土砂が積もり、跡形もない。両親とは七日に安置所で対面したが、安否不明のままだった君子さんの捜索は続けられていた。

 最後に顔を合わせたのは今年のお盆。「損傷がひどくて、顔を見せてもらえなかった。三人とも死んでしまったけれど、家族がそろいました」。そう声を絞り出した。

 (天田優里、河北彬光、安福晋一郎)

 

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