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北海道地震、死者19人なお不明9人 迫る72時間、停電ほぼ解消

土砂崩れで倒壊した家屋を見つめ涙を流す女性=8日午前、北海道厚真町で(布藤哲矢撮影)

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土砂崩れで家屋が倒壊した現場で安否不明者の捜索を行う消防隊員ら=8日午前、北海道厚真町で

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 北海道で最大震度7を記録した地震で、道は八日、大規模な土砂崩れがあった厚真(あつま)町で安否不明だった十九人のうち十人が新たに捜索現場から見つかり、死者が十九人、心肺停止は十一人となったと発表した。発生から三日目となったが、同町では依然九人が安否不明。災害現場で生存率が下がる目安とされる「発生後七十二時間」が九日未明に迫り、自衛隊や消防、警察などは捜索に全力を挙げた。

 北海道電力は八日朝、道内全域への送電を再開した。地震で最大時には道内全域の約二百九十五万戸が停電したが、正午現在、停電は約一万六百戸に減少し、ほぼ解消されたことになる。ただ政府は平日のピーク時に電力供給が追いつかない事態を想定し、計画停電などの準備を進めるとしており、高橋はるみ知事も節電への協力を求めている。

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 新千歳空港では八日朝、国際線の運航が再開された。約九十便の発着を予定。前日に再開した国内線は通常の約九割の便が運航する見通し。

 道によると、死者は厚真町で七日夜の発表より一人増え十六人、苫小牧市、むかわ町、新ひだか町で各一人。心肺停止の十一人はいずれも厚真町で、けが人は約四百人に上る。八日午前の避難者は計約一万二千人。捜査関係者らへの取材で、新ひだか町で犠牲になったのは五十五歳の男性と判明した。アパート二階の自宅で倒れ、死因は圧迫による窒息死だった。

 一方、菅義偉官房長官は八日の記者会見で、人的被害について死者二十一人、心肺停止六人、安否不明十三人と発表した。具体的な内訳には言及しなかった。

◆「祈るしか」「奇跡を」

 多くの安否不明者がいる厚真町吉野地区の土砂崩れ現場では、八日も懸命な救助活動が続いた。「私たちは見つけ出す一心で活動します」。捜索に参加する男性消防隊員が、今もまだ厚く地面を覆う土砂を見つめ、力を込めた。

 土のにおいが漂い、時折強い風が吹く現場では、徹夜で作業を続けた自衛隊員をはじめ、朝からは警察官、消防隊員らも加わり、百人以上で活動に当たった。七日から降っていた雨の影響で、水を含んで重くなった土砂を、スコップや重機で取り除いた。午前九時四十五分ごろには、不明者を運ぶための担架一台とブルーシートが運び込まれた。

 現場から百メートルほど離れたあぜ道では、一人の女性が祈るように口の前で両手を合わせ、救助活動を見守っていた。親族が一人、安否不明という。数日前まで住宅があった場所で行われる作業をじっと見つめ、タオルで涙をぬぐった。

 吉野地区に隣接する富里地区でも、年配の男女二人の救出作業が続いた。

 全二十七戸と小さい富里地区では、住民は互いを家族のように思っている。高台から作業を見守っていた、自治会長の吉村正弘さん(65)は「今は祈るしかない。厳しいことは分かっているが、早く見つかってほしい」と心配した。

 避難所に身を寄せた住民からも、行方不明の家族を案じる声が上がる。

 「奇跡が起きてほしい」。約百四十人が避難する町立厚真中央小学校で、苫小牧市の七十代男性が声を振り絞った。吉野地区に住む義理の弟夫婦と連絡が取れず、七日に町へ駆け付けた。

 義弟夫婦の家があった場所に行こうとしたが、付近は地盤が弱く安全が確保できないため立ち入らないように言われ、やむなく避難所で一夜を過ごし、情報を待っている。「(捜索隊に)任せるしかない。なんとか、今日中に見つけてくれないか」と祈るように話した。

 町災害対策本部も焦りを募らせる。総務課の青木雅人課長は「こちらも七十二時間は意識している。『一刻も早く、行方不明者全員を見つけたい』という思いで、余震が続く中でも休みなくやっている。誰ひとり、諦めている人間はいません」と話した。 (井本拓志、河北彬光、斎藤雄介、天田優里)

◆被災地支援に予備費投入へ 首相表明

 安倍晋三首相は八日、北海道の地震の関係閣僚会議で、被災地の生活支援に関し「国として財政支援を講じる。(二〇一八年度予算の)予備費を準備する」と表明した。水と食料、病院の燃料を挙げ「切れ目なく被災者の元に届くよう、供給していく」と強調した。

 菅義偉官房長官は会議後の記者会見で「来週早々にも予備費の使用ができるよう準備を進めている。金額は現在、調整中だ」と説明した。

◆有感地震128回に

 北海道の地震で、体に感じる震度1以上の地震は八日午前十時までに百二十八回(最大震度7の本震含む速報値)となった。七日夜に震度4の地震が起き、気象庁地震予知情報課の明田川保課長補佐は「数は少なくなるが、たまに大きな地震が起きる」と話した。最大震度7程度の地震に注意が必要な状況は変わらないという。

 

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