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懸命の救助、見守る親族 厚真町

小雨が降る中、佐藤正芳さんの捜索現場を見つめるいとこの佐藤泰夫さん(中央)ら=7日午後5時18分、北海道厚真町富里地区で(平野皓士朗撮影)

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 震度7の揺れを観測し、行方不明者が最も多い北海道厚真町の吉野地区。七日夕、どんよりと曇った空から雨が降ってきた。約百十キロ離れた帯広市から車で駆け付けた会社員田中寿さん(74)が、土砂とがれきの撤去作業を眺めていた。「いとこの夫妻が住んでいた。雨でまた土砂崩れが起きなければいいが」

 田中さんはこの日朝、電話がつながらない夫妻の安否を確かめたくて、厚真町に向かった。道路が土砂で進めない時は、田んぼのあぜ道を走らせた。たどり着いた二階建ての家は、一階部分がつぶれ、土砂にのまれていた。

 田中さんは、二人がいつも一階で寝ていたことを思った。稲作を営み、毎年秋に新米を送ってくれた夫妻。前に会った時は「娘の旦那も農作業の手伝いに来てくれてね」とうれしそうだった。

 懸命の作業にも、夫妻の姿は見つからない。「最悪の結果は覚悟している。とにかく早く、見つかってくれたら。それだけでいい」。田中さんは、そう願った。

 雨は夜になっても断続的に降った。同町富里地区では、午後七時になっても、行方が分からない農業佐藤正芳さん(66)の救出作業が続いた。

 隣に住むいとこの佐藤泰夫さん(63)は「とにかく早く見つかってほしい」。投光器の照らす現場で重機三台が土砂や倒木を取り除いていた。

 今は一人暮らしをしている正芳さん。めいを実の子のようにかわいがり、昨年、めいが名古屋市に引っ越した後も、年に何度も訪れた。今月も三日までの数日間、遊びに行ったばかりだったという。

 泰夫さんからの電話で正芳さん宅の被害を知っためいは、「もう諦めなきゃだめだね」と泣きじゃくった。泰夫さんは「覚悟はしとけ」と返事をした。希望を捨てたわけではない。「でも最悪を考えておかないと、ショックが大きい」と自分に言い聞かせるように話した。

 (河北彬光、福岡範行)

 

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